第百十五代・桜町天皇の御歌から

 述懐(御年二十歳)
思ふにはまかせぬ世にもいかでかはなべての民の心やすめむ

 心静酌春酒(御年二十三蔑)
天が下たのしむ民のこゝろをもまづ酌みて知る春のさかづき

 立春(御年二十四歳)
君も臣も身をあはせたる我が国のみちに神代の春や立つらむ

 夢中懐旧
幾度か見しが中にもたらちねのいさめかしこき夢ぞわすれぬ

五 江戸時代後半期における御二方の青年天皇とその御歌
小田村寅二郎『日本思想の源流:ー歴代天皇を中心にー』Kindle版、国民文化研究会

(本文からの抜き書きと、本掲示のタイトル付けは伊勢雅臣が行っています)