思わぬ体調不良により、せっかく本人に会えるはずだったレッドカーペットイベントにジャパンプレミア試写会を逃してしまった本作。
はるばる中野まで試写会に出かけてきた。
交通費を考えると……ではあるが、公開より先に見たかった。
中学生時代、友人とシルベスター=スタローンにハマりこんだ時期があった僕にとっては、見逃すことのできない作品だったし。
「最後の戦場」それが何を語るのか、早く見たかった。

完全無欠のヒーローとは全く異質、ベトナム帰還兵として深い悲しみと決して消えない心の傷を持つヒーロー……それがジョン=ランボー。
今までは、肉体美を丸出し、上半身裸で魂の叫びを行動に表して暴れ回る姿が、ランボーの代名詞であったが、年を取った彼は、彼らしく人間的に描かれていた。
敢えて少しフックラした肉体。
上半身を見せ付けることはもうない。
ミャンマーとの国境付近、タイの山奥で、戦いから遠ざかり、質素な暮らしをしていたランボー。見世物用のコブラを捕まえるという、彼ならではの質素な中にも危険をはらんだ商売をしながらであるが。
しかし、ある日、アメリカから軍事政権による圧制を受けている少数民族を支援するボランティア団体の女性、サラが彼の前に現れたことで、平和な日々に揺らぎが訪れる。
地域を知り尽くしたランボーに、少数民族のところまで船を出してほしいと言うのだ。
危険この上ない地域であり、ボランティア団体の純粋な精神はともかく無謀な行為であることから当初は依頼を断る彼であるが、サラの純粋で混じりっ気のない情熱に心打たれたランボーは、その頼みを受け入れ、彼らを目的地まで送り届ける。
その最中から、ミャンマーの厳しい現実が見え隠れし始める。
無法地帯……海賊の存在……。。。
そして、数日後、ランボーに届いたのはサラたちが軍に拉致されたとの報せ。
救出のために雇われた最新装備の傭兵部隊5人と、行動を共にすることを選んだランボー。
手製のナイフに、弓矢、古臭い武器を手にした、かつての最強の兵士が戻ってきた。
その最後の舞台は、世界最長の内戦が今も続くミャンマー。
本作では、軍事政権による少数民族虐殺の様子や、平和とは程遠い現実のミャンマーの様子がこれでもかというほど生々しく描かれている。
スタローンの、ランボーの、平和への願い、ミャンマーの現状への怒りが体現されている作品でもあるのだろう。
そして、社会は、世界は、もっともっとミャンマーに目を向けないといけない、何をすべきか考えないといけない、という強いメッセージ性のある作品に仕上がっており、非常に見応えがある。そして、様々なことを考えさせられる作品。

”Live for nothing, or, die for something"……胸に突き刺さるランボーの台詞。
ランボーの最後の戦場……しっかりと目に焼き付け、見届けさせてもらった。