思いやりには他者の気持ちを想像することが不可欠です。それには物事にはいろいろな見方、感じ方があることを知っていなければうまくいきません。子ども時代からそういった目を育てるには世界各国の文学を読ませることが一番です。原作が難しければ、もちろん少年少女用に書き直されたもので良いんです。

私は「アラビアンナイト」でアラーを信仰する人達のことを知りました。「ハイジ」でスイスとドイツのこと、「クオレ(母をたずねて三千里)」でイタリアと南米、「あぁ無情」でフランス、「トムソーヤ」でアメリカのことを知りました。「ロビンソンクルーソー」を読んだ時は英国人、「ドン・キホーテ」を読んだ時はスペイン人のものの考え方に触れました。また、「古事記」と「ギリシャ神話」「旧約聖書物語」を読んで、それぞれの神様の違いを知りました。アメリカの黒人差別については「アンクルトムの小屋」を読んで知りました。その他、「楽しいムーミン一家」、「にんじん」、「長靴下のビッピ」、「オリバーツイスト」などなど、国が違うと作品の雰囲気が変わることも知りました。

このように本好きだった私は小学時代に世界の名作を片っ端から読みまくりましたが、その前段階としては世界の絵本を読んでいました。絵本は絵本で絵に特色があってこれまた楽しいんです。うちの娘が小さい頃、図書館で毎週20冊本を借りていましたが、「外国の本も借りなよ」と声をかけ必ず読ませるようにしました。「スーホーの白い馬」や「おさるのジョージ・シリーズ」から日本とは違う外国の様子を知ることができました。

娘が字幕を読めるようになってからは、できるだけいろんな国の映画も見せるようにしています。私の父親が大の映画好きだったおかげで私はたくさんの名作映画を見ることができました。今は洋画というとハリウッド映画が強いですが、私が子どもの頃はフランス映画や香港映画もたくさん見ることができました。それはすごく刺激になりました。「マルセリーノ」や「禁じれた遊び」、チャップリンの「モダンタイムス」等の白黒作品も良かった。ジェームスディーンの「ジャイアンツ」ではアメリカの東部と西部の違いがとっても印象的で今でも心に残っています。映画のことを書き出すと止まらなくなるので、またいつか日曜版にて紹介していきますね。

今はレンタルDVDがあるので子どもに気楽に各国の名作映画を見せることができます。「うちの子は本嫌いで」という場合でも、映画なら見るのではないでしょうか。ぜひご家族でお楽しみ下さい。