「ピッチャー、また首を横に振った。
サインが決まらない!」
観客としては
「バッテリーのかけひきを楽しむ瞬間」
でもあるのですが、
ピッチクロックの採用で
これがなくなるんですよ。
ここは
「日本人には不向きかな?」
と思える部分です。
理由は終わりの方で書きますね😁
今年からメジャーリーグで
「ピッチクロック」
なるものが導入されました。
英語で
「Pitch clock」
カタカナで言うと
「ピッチクローッ(ク)」
最後の「ク」は軽〜く言う感じです。
ピッチャーがキャッチャーからボールを
受け取ってから次の投球動作に入るまでに
「制限時間」
を設けるというルールです。
ランナーなしのときは15秒
ランナーありのときは20秒
「投球動作に入る」
をざっくりいうと、
「ピッチャーが足を上げる動作に入った時」
と考えていいと思います。
投げるまでが15秒・20秒ではない
ようです。
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試合をテンポよく進めるという意味で
いい試みだと思います。
侍ジャパンの優勝で大盛りあがりで終わった
WBCですが、
日本での予選ラウンド4試合は
「4時間超え」
の長い長〜い試合ばかりで、
特に初戦の中国戦は残塁も多く
「無駄にダラダラ長い試合」
という印象でしたよね。
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スポーツの試合時間は世界的に一番人気の
「サッカー」
を基準に考えることが多いようです。
サッカーは前後半45分の90分と、
ハーフタイム・アディショナルタイムを
足しても2時間くらいで終わります。
オリンピックの華と言われるマラソンも
2時間ちょっと、
トライアスロンがオリンピック種目になった
時は2時間くらいで終わるように距離が調整
されましたし。
スポーツ以外でも映画はだいたい
2時間くらいで作りますので、
2時間という時間設定は
「人間が退屈せずに楽しめる時間の限界」
と考えていいのかもですね。
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アメリカで人気の4大スポーツ
アメフト・野球・バスケ・ホッケー
の中で唯一野球だけが
「時間制限のない試合」
でした。
これが理由かどうかは定かではありませんが、
アメリカでも
「野球人気低迷」
は問題視されていて、
それを解消する意味でも
「試合時間短縮」
は大切に考えられているようです。
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僕は学生時代からアメフトをやっていて、
今も学生にコーチをしているのですが、
アメフトは昔から
「プレークロック」
と言って、
前のプレーが終わって次のプレーが始まるまでの制限時間を管理しています。
アメフトの場合はザックリいうと
フィールド内でプレーが終了したら40秒
フィールド外でプレーが終了したら25秒
という時間設定です。
この時間制限のおかげでアメフトの試合は
だいたい2時間半くらいで終わる時間設定
になっています。
「プレーとプレーの間の時間管理」
という意味では今回のピッチクロックと
同じ考え方です。
以前、アメフトのプレークロックについて
書いたブログがありますので添付して
おきますね!よろしければ御覧ください。
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初めてピッチクロックのことを知り
ランナーなしのときは15秒
ランナーありのときは20秒
は短いなぁと感じましたが、
アメフトの1チームの攻撃回数がだいたい
60回くらいに対しての40秒・25秒の
時間制限を考えると、
野球の一試合でピッチャーが投げるだいたい
120球くらいに対しての15秒・20秒の
時間制限は
試合を3時間くらいで終わらせるには
妥当な時間だなと思います。
実際にこのピッチクロックを採用した
2023年のオープン戦は時間が短縮され、
3時間以内に終わった試合が多いようです。
効果ありですね!
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【日本人には不向き?!】
ピッチクロック採用によって
「バッテリーのかけひきを楽しむ時間」
がなくなります。
アメフト経験者の僕からすると、
「限られた時間内での焦りから来る判断ミス」
も人間味にあふれていて非常に面白いのですが、
ここは
「日本人には不向きかな?」
と思える部分だと思います。
日本でのスポーツ観戦は、
相撲の立会いや剣道の間合い・つば競り合い
のような、
「動きのない時間帯の戦い」
を楽しむ傾向が強いと思いますが、
ピッチクロック導入でそれがやりにくく
なります。
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野球は
「次はカーブだ!」
「一球はずそう!」
「ここは送りバント!」
「いやいや、エンドラン!」
など、自分が監督になった気分で試合に
参加できるのが大きな楽しみですが、
15秒・20秒という時間制限があると、
それを楽しむ余裕はなります。
15秒・20秒はあっという間です。
この短い時間の中で戦略を楽しもうと思うと、
「かなり野球のことを理解していないと
楽しめない」
ことになります。
野球の戦略的な楽しみ方は
「一部の野球通の人たちの楽しみ」
になります。
せっかくWBCで野球に興味が湧いた
にわかファンはおいていかれますね😢
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「ピッチクロック採用で戦略的な楽しみが
できなくなる」
を逆のアプローチで考えると、
「戦略ではなくプレーそのものを楽しむ!」
という意図があるようにも思えます。
今回WBCが大盛りあがりだったのは
大谷の特大ホームランや豪速球、
ヌートバーの全力プレー、
周東の俊足
甲斐キャノン
....etc
などなど、
「プレーそのものの魅力」
が高かったからだと思います。
ピッチクロックの採用でこれに拍車がかかる
ように思います。
見て単純に楽しめると、
にわかファンも増えます😁
にわかファンもハマってしまえば
「コアなファン」
になります😁😁😁
戦略の駆け引きも面白いのですが、
「パワーとスピード」
のぶつかり合いを単純に見て楽しめる
「プレーそのものの魅力」
を上げることに繋がり、
競技そのもののレベルも上がるかなと
思います。
「単純に楽しめる」
これはスポーツ普及・人気回復には
とても大切な考え方だと思います。