私がセラピストになろうと思った原点、
肺腺ガンに羅患した時の振り返り日記を綴っていきます。
関節の痛みと寝汗【②私の振り返り闘病日記】【②私の振り返り闘病日記】
肺ガンか結核か、精密検査のベルトコンベアー【④私の振り返り闘病日記】
からのつづき
次の検査はPET/CT検査に行け、というものだった。 PET/CTの意味も分からずネットで調べだした。 PET/CT検査とは簡単に言うとブドウ糖を体に入れ、がん細胞が光って映し出されるという検査だ。
私の検査はNHSと言ってイギリス居住者なら国民医療サービスで無料で検査を行ってくれたのだが、 もし私立のプライベート病院でPETを受けるとなると高額な料金、約1,500ポンド(日本円で22万円くらい) のようだった。
そんな高額な検査をわざわざ受けなければならないという事は、 もうすでに前3つの検査で私はガンが確定してしまったのだろうと思った。
これまでの検査だけの約3週間の間、 ドクターにも会わせてもらえず、 崖からぶら下がった宙ぶらりん状態の気分だった。 もう不安は通り越して恐怖で食事も喉を通らず、 みるみる痩せて行った。
今思うと、この検査の間の心境だけでかなりの免疫が下がり、 がん細胞が大きくなっただろうと思う。 体力も無く、 ちょっと歩くとへたばってしまっていた。 表情も全く無かっただろう。
笑う事も、 話す事も、 食べる事も、 誰かに会うなんて事も何もやりたくない無気力の状態だった。 そんな私を見て家族はどんなに心配しただろう。
子供達にはまだ言えなかった。 余計な心配をかけたくないから確定するまでは言ってはいけないと思っていた。 しかし私のあまりにも無気力な状態でどちらにしても結局はかなり心配をかけていたと思う。
PET/CTを受けるのには家から車で40分ほどの場所にあるイギリスでいう国立がん病院(Royal Marsden Hospital)に行った。
検査の前、 イタリア語訛りの英語を話す若いナースが、質問票にそって色々質問してきた。 ここに来ることになった経緯などだ。 もうガンだと覚悟の上であったがまだ結核かもしれないんですと答えていた。 そう答える事によって検査でガンは見つからなくなると思えた。
検査前に厳重に管理された薬剤を注射される。 放射能入りブドウ糖造影剤とでもいうのだろうか。 体に巡るまで1時間程個部屋で休んでいるように言われる。 その個室が寒くて震えていた。 ただでさえ体温が低くなってるから毛布を何枚ももらった。
PET検査自体はCTとさほど変わりないが、 検査後は異常なまでの倦怠感に襲われた。 どれだけの放射能を浴びたんだ!と思ったが、これは完全にメンタルから来るものだったと思う。 1年半後に再びPET/CTを行った時は全くだるくもならなかったからだ。
この崖っぷち宙ぶらりんの4週間、 人生でこんなに長かったと思える1か月は無かった。 夫までもがすっかり闇に飲み込まれた。 毎朝、目が覚めると、 夢であってほしかったと思い、 この現実に涙した。 この蟻地獄から誰かどうにかひっぱり出してほしいと願う。 自分では到底出られないと思っていた。
家族以外の世界中の人が皆幸せに見えていた。
へつづく
最後までお読みいただきありがとうございました。
皆さまの心と身体が健やかでありますように。
