お子様の書き初めを申し込まれたお母様が、

「私も書きたい。」
との事で、はじめて大人の方のお申し込みがありました。
 
早速、書き初めに向きそうな4文字のお手本を用意してお待ちしておりました。
 
ところが、
「私、『毎朝薬』って、書きたいんです。」
と、おっしゃいました。
失礼ながら、
「え?」
と、思わず笑ってしまいました。
 
お話を伺うと、お父様がご病気で、毎日薬を飲まなければならず、忘れないように目につく場所に貼っておきたいとの事でした。
 
「どんな字で書きましょうか?」
と、何度も相談しながらお手本を書きました。
 
「こっちの方が、かっこいいですね。」
とか、
「ここ、止めた方がいいですか?うまく書けないんですよね。」
とか、お母様も私もどんどん調子が出てきました。
 
何枚も書くうちに、ある段階から、真剣な表情に変わっていかれました。
きっと、お父様の姿を思い浮かべ、病気が少しでもよくなる様にと、祈る様な気持ちで書いていらっしゃったのでしょうね。
私にもその熱い思いが、ジンジンと伝わってきました。
 
書いていらっしゃる姿も、背筋がピンとして、本当に美しかったです。
 
最初は、笑ってしまい申し訳ありませんでした。
「毎朝、薬」
愛に溢れていて、素敵な言葉でした。
 
どうぞ、お父様のご病気が快方に向かいます様に。
 
 
 
そして、帰られたあと、私はハッと気づいた事がありました。
 
しあわせ書道代官山に来てくださったすべての方が、
「しあわせな時間を過ごせます様に」
「しあわせが何かという答えを見つけ出して頂ける場所であります様に」
と願いを込めて付けた教室名です。
 
私が、このしあわせ書道代官山でやりたかった事が、
うまく表現できなかったことが、こうして人と関わることで明確にされていく。
改めてそう思えた1日でした。
 
 
 
 
しあわせ書道代官山
代官山駅東口より徒歩2分