フォークリフトの事故について | SATANS KITTENS

フォークリフトの事故について

ニュースによりますと、群馬県 前橋市にてフォークリフトにスチールパレットを持ち上げた状態で、そこにベルトを吊るしブランコのようにして小学三年生の女の子を遊ばせていたところ、パレットが落下し、女の子の頭上に落下。

その後、女の子は搬送先の病院で死亡が確認されたという事です。

 

本当にこういう事故が後を絶ちません。

私は20年近く殆ど毎日の様にフォークリフトを操縦する現役のフォークマンです。

私が免許を取得した約20年前は、実技2日、学科2日の合計4日間の講習を受け、最後に試験を受けました。

これが短いと感じるか長いと感じるかは人それぞれだと思います。

その4日でフォークリフトの危険性も学びます。

 

まず、通常の事業所であれば最大荷重1.5t程のフォークリフトを運用しているかと思いますが、2.5tや3.5tを運用している事業所もあるでしょう。

もちろんフォークリフト自体は貨物を持ち上げる様なもっと大型の物もあります。

検証しましたが、コーヒーのボトル缶をフォークで踏んでみると、簡単に潰れてしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

最もこれはアルミ缶なので比較的柔らかい物ですが、この下に人間がいたらと思うとゾッとします。

昔フォーク部分で足を踏まれた経験がありますが、骨が折れたかというくらい腫れ上がり、暫く歩けなくなったくらいです。

なので、オペレーターといえど安全靴が必須なのです。

 

例えば最大荷重3.5tのフォークリフトだとしたら、大抵の普通自動車は持ち上げられる能力があります。

そうなれば、フォーク部分にもそれなりの強度があり、重さもあります。

免許取得時には、絶対にフォークの下には入り込むなと教えられます。

しかし、現場作業をしている人ならやむなく下に入る事もあるかと思います。

しかしそれは空荷の状態であり、荷物を持った荷重が掛かっている状態では怖くて絶対に入りたくはないです。

 

今回事故が起きた時、数百kgの鉄製のパレットを持ち上げている状態だったといいます。

フォークリフトというのは、チェーンと油圧シリンダーでフォーク部分を持ち上げています。

もし、チェーンが切れたらとか、油圧が馬鹿になって落下したらと考えたら、数百kgの下敷きになる恐れがあるので、現役オペレーターなら絶対にやらない事です。

今回はそこに、認識不足や慣れがあったが為に、してしまった行為だと思いました。

 

よく、フォークリフトは免許が無くても乗っていいなどといった間違った情報がありますが、確かに私有地であれば車でもなんでも無免許で乗れてしまいます。

しかし、しっかりと知識を習得しないまま運転していると必ず事故が起きます。

積荷を落下させて破損させてしまっただけならまだ良いのですが、今回は重大死亡事故に繋がってしまいました。

これはしっかりとした知識があれば防げた事故だったはずです。

推測するに、ブランコの様に前後しているうちに、パレットが徐々に滑っていき、フォークから外れてしまったのだと思います。

フォークも鉄製なので、パレットも鉄製だとかなり滑ります。

プラスチックパレットでも急ブレーキをかけるとパレットごと落下するくらい滑ります。

まず画像をご覧下さい。

 

これはマストといって柱部分がセンター位置にある場合です。

この位置がニュートラルになります。

 

次にマストを全開に起こした場合の位置です。

フォークリフトの講習では、荷物を運ぶ場合はマストをこの位置にし、バックで走行をするようにと教えられます。

マストを起こすのは落下防止の為で、バック走行は荷物で前方確認が出来なくなる為です。

 

そしてマストを全て倒した場合の位置です。

画像を見れば一目瞭然ですが、この位置での作業は非常に危険です。

荷物が倒壊する恐れもあります。

ではなぜマストが前後するのかは、坂道などで水平を保つ為です。

 

次にパレットの中心位置を前方にズラしてみます。

ニュートラル状態で空荷であればそれなりに保っていられます。

 

マストを倒した状態だとパレットが傾きました。

これで荷物を積んでいた場合は、確実に荷物が落下しますし、パレットごと滑り落ちる事もあります。

今回の事故はこれが起きたのではないかと推測出来ます。

仮にマストを全開に起こした場合だったとすると、まずパレットが滑り落ちる事はなかったかと思います。

マストがニュートラルないし、前方に傾いた状態だったか、もしくはブランコを前後する為にマストも前後交互に動かしていた可能性もあります。

ただでさえ数百kgもあるパレットなので、徐々に動きは大きくなったはずです。

ちょうど、湯船で体を前後に揺らして波を作っているようなそんな状態です。

 

これはフォークリフトについているプレートですが、今回3m程の高さまで上げていたという事は、最大までフォークを上げていたのでしょう。

そして、一番下にあるロードセンターという数値は、荷物の奥行と高さの中心がどの位置にあるかで持てる重さが変化するというものです。

例えばロードセンターで500mmというのは、フォークの最奥と最下から荷物の中心位置がが50cm以内にある場合には最大で1500kg(1.5t)の物が持てるという事です。

それが、60cmでは1350kgになり、1mになると960kgしか持てなくなるという事が分かります。

フォークリフトの免許を所持している人はこういう知識も免許取得時に教えられます。

 

なので、無免許で乗るという事がどれだけ危険な事かがお分かり頂けると思います。

 

こういう事故は本当に多いです。

そして今回は幼い子供が亡くなってしまいました。

何でもそうですが、間違った使い方をしてしまうと、例え便利な物でも危険な物になってしまいます。

 

どうか、このブログを皆様に拡散して頂き、危険性を周知して頂きたいと思っています。