
お待ちかねの「パーシャクラブ」、オープニングは「海の彼方」。
大工先生の島唄に聴き入っていた我々観客は、総立ちで“琉フェスの顔”を迎えた。
そしてリーダー新良幸人が夏川りみを呼んだ。
会場は更に大きな拍手に包まれる。私にとって彼女は2005年の大阪ドーム琉球フェス以来だ。

「ファムレウタ」「童神」「涙そうそう」と、お馴染みの歌を披露してくれた。
特に会場全体で歌った「涙そうそう」は、ここにいた我々だけにしか味わえない感動的な時間だった。

そして与那覇徹の琉笛が加わり「満天の星」、更にサンサナーも舞台狭しと歌い踊り「七月エイサー」「久高(クーダーカー)」「五穀豊穣」。会場の興奮は最高潮に達した。
やはり生はいい。まだ完全には降りやまない雨に悩まされながらも、つくづく来てよかったと思った。
日はとっぷりと暮れた午後7時半、パーシャ&夏川りみの興奮が冷めやらない中、大トリの喜納昌吉が登場した。

まずは三線弾き語りで「東崎」。会場は静かに聴き入っている。
良かったのはここまで。彼がEギターに持ち替えて歌った3曲(「ハイサイおじさん」含む)は音のバランスが悪く聞き苦しかった。何より彼の長々とした政治的発言が私の興を削いだ。音楽に政治を持ち込んで欲しくなかった。アンコールの「花」(多分)は聴かずに私は会場を後にした。
思えば今回の琉球フェスティバルは雨との戦いだった。Aゾーンの観客(私はCゾーン)は土砂降りの雨にもめげず最後まで踊りまくっていたが、傘のない私は合羽(上のみ)を着て逆境に耐えた。それでも都心を襲った豪雨の強さには耐えきれず後方の木陰やトイレに駆け込んだ。
雨の止んだ状態でステージを観れたのは全体の半分も無かっただろう。
下着まで濡らし、バッグの中身にも浸水し、帰りの新幹線では寒さに震えた。
でも、また雨に濡れることがあっても、私は来年以降も感動を求めて、日比谷野音へ向かうだろう。