障害者雇用とは企業に課せられた社会的責任としての負担となる制度なのだろうか?

 

わたしは今から二年前ハローワークの紹介により障害者就労継続支援A型事業所に通い始めた。そこでは雇用契約を結び1日4時間半最低賃金を保証され働くことができた。それまでクレジットカードをすり減らし不安定な生活を営んでいたが、賃金は少なくても安定収入を得ることで生活設計が出来た。そんな生活を続けているうちにもう少し給料が貰えるよう一般企業の仕事に就きたいとの思いが強くなった。そこでわたしは求人サイトや転職サイトに片っ端から登録し、ハローワークにも再度登録して足蹴に通った。書類選考のある企業は門戸が狭いので面接スタートの企業を選んだ。転職サイトからのオファーで面接したこともあった。ハローワーク経由でも幾度か面接して頂いた。私的にはどれも手応え十分採用通知を待ち望んだ。ところが結果は全て見送り。そんな時、何かアプローチを変えようと障害者就労・生活支援センターに連絡を取った。そこでは心強いアドバイスを沢山頂き、担当者も好意的で効果が期待できた。その数カ月後、私に紹介された就業先はとても相性のいいと言えるものではなく手足の不自由な私に待っていたのはスポーツセンターでの受付の仕事だった。フルタイムの勤務を希望したわたしはシフト制のアルバイトで一日5時間程度の勤務だった。座ってPCの前でならある程度障害をカバーしながら業務に取り掛かれるが受付ではそうは行かない。普段は座っていてもお客様を迎えるときは当然立って対応する。そこでもお客様の要望にクイックに反応するため立ったまま片手での業務には負担が重かった。フルタイムを希望しているわたしは相性の悪い配置先で勤務時間も30分増えただけでは披露が蓄積された。

 

そこからわたしは障害者雇用について勉強を始めた。まずは障害者の志向や持ち合わせるスキルに合わせた相性の良い職場の提供、わたしが障害者当人だからどうしても障害者からの目線で事業計画が始まる。ところが、障害者雇用を実施するのは企業である。その企業に利点がなければ需要はない。コンプライアンスだけでは形だけの制度になり双方の負担となるのは至極当然ではないだろうか。

 わたしはそれから障害者雇用の利点を探った。行政の担当部署、各支援機関、民間で取り組む支援企業様々なところに直接出向く或いは質問状を送り多くのヒントを頂いた。

 

障害者雇用の利点

 

1.  補助金を利用した高コストパフォーマンス

3年間最大240万円の特別求職者雇用開発助成金法定雇用超過人数分月額27.000円の法定雇用調整金の支給 

就労してから不安定な3年間においてこの金額は大きな魅力と言えないだろうか?ちなみに私は特別身体障害者に当てはまるため私を雇用した企業は年収180万円で契約したとしても実際のコストは半分以下である。配置先さえ間違わずある程度業務可能なら決して悪い話ではない。

 

 

2.  積極的合理的配慮による生産性向上

現場の細かな配慮(こうしたらいい、このほうが楽、早い)が手間を省き生産性向上

障害者雇用を実施する企業は障害者が障害を意識せず業務が行えるよう合理的配慮が義務付けられる

 

 

3.  合理的配慮の浸透によるチーム力強化

皆様は電車の中で困っていそうな方になかなか声をかけられずとうとう席を譲れなかったというご経験はございませんか?でも毎日のように「こうしてあげれば、もっとやりやすいんじゃない」「このほうが楽にできるかも」と相手の立場になり配慮していると電車の中だけではなく、お客様や取引先、上司や同僚、後輩まで自然と配慮できる自分が想像できないでしょうか?障害を持つ方の場合、何を不自由に感じ何を改善してあげればいいかをイメージしやすいのではないでしょうか?〈例〉車椅子の場合ドア型の扉は不便だろうとか机の周りは広いほうが良いだろうとか?そんな場合、チームで影響が出ない範囲でドアは開放しておこうとか〇〇さんのデスクは端っこにしてあげよう等、議論も活性化し、企画や会議においても自発的にアイデアが出やすいそんなチームが想像できませんか?そんな活力があり、気配りの行き届いたチームの企画サービスにとても魅力を感じるのは私だけでしょうか?

 

こうした隠された障害者雇用の大きな利点を皆様もどうぞ充分ご享受ください。

この他にも紹介しきれない多くの障害者所用の好事例がたくさんの企業や支援機関から寄せられています。ぜひあなたの組織にも積極的、戦略的障害者雇用を実践しましょう。