My 歌舞伎トップ5-2015年 | Diary

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年末ということで、大胆にも今年私が観た歌舞伎のトップ5を挙げてみることにしました。”私が観た”という制限付きの非常に狭い中での、且つ独断と偏見による選定です (笑)

歌舞伎座 

まず今年観た歌舞伎一覧。(2015年上演の舞台に限り、シネマ歌舞伎やDVDは除く)

三月大歌舞伎: 通し狂言 菅原伝授手習鑑 (加茂堤、筆法伝授、道明寺、車引き、賀の祝い、寺子屋)
市川海老蔵特別舞踊公演: 道行初音旅、身替座禅
團菊祭五月大歌舞伎: 摂州合邦辻、天一坊大岡政談、慶安太平記-丸橋忠弥、蛇柳、
市川海老蔵自主公演ABKAI: 竜宮物語、桃太郎鬼ヶ島外伝
七月大歌舞伎: 一谷嫩軍記ー熊谷陣屋、怪談牡丹燈籠
當る申歳 吉例顔見世興行: 碁盤太平記、義経千本桜-吉野山、心中天網島-河庄、土蜘、信州川中島合戦、土屋主税、勧進帳
23作品

多かったのか、少なかったのか?自分の意志で歌舞伎を観るようになったのは昨年11月からなので、それにしてはかなり劇場に足を運んだ気がします。友人達からは「(急に)どうしたの?随分はまってるね」と言われていますが・・・

評価は(自分が楽しむために)Excellを使って結構真面目にしました。
選定基準は、1.役者さん、2.お話(ドラマの中味)、3.Impression (印象)、4.作品全体(1,2,3全てと衣装や音楽、舞台装置なども含む)としました。

作品ごとに上記1~4の項目について5段階評価(5すごく良い、4良い、3ふつう、2あまり良くない、1良くない)して、その総合得点の高い順に上位5作品をトップ5としました。詳細は公表しません。

トップ5の結果は次の通りでした。
1. 一谷嫩軍記ー熊谷陣屋 (いちのたにふたばぐんき―くまがいじんや)

20150716-3 

2. 菅原伝授手習鑑の内、寺子屋 (すがわらでんじゅ てならいかがみ-てらこや)
3. 碁盤太平記 (ごばんたいへいき)
3. 摂州合邦辻 (せっしゅう がっぽうがつじ)
4. 勧進帳 (かんじんちょう)

3位は同点のため2作品で、全部で5作品。総合得点の内、1の「役者」の得点の平均点が他の項目よりも高かった(より影響した)ということが、My 歌舞伎の特徴かも。(笑)

この他にエンターテイメント性に優れた作品だったとして、「桃太郎鬼ヶ島外伝」を特別賞にしました。なんといっても最後近くの鬼たちのラインダンスと歌は最高に楽しめました
5作品中、2作品、特別賞も含めると3作品。市川海老蔵さんものが占めました。やっぱりそうだったか、強し!そうだろうなって結果でしたね。

それぞれの作品については今年のブログに書いた通りなので省略します。

トップ5の2位の「寺子屋」は今年の三月大歌舞伎で観たのもです。しかしなんとなく未消化感が残っていて、その後YouTubeに過去に上演された、別の役者さんによる「寺子屋」がアップされているのをいくつか見直しました。その中の2012年に公開されたバージョンを見て、舞台で観たのよりもより深く、強くこの作品を味わえたのでした。

20150216_歌舞伎座 


同一の主君への忠義の為に、若君の身替わりに我が子の首を差し出した(殺された)側と殺した側の2組の夫婦を巡るドラマ。(殺した側の)武部源蔵、戸浪夫婦を片岡仁左衛門さん、中村勘三郎さん (2015年三月大歌舞伎では尾上松緑さんと中村壱太郎さん)、(殺された側の)松王丸とその妻千代を松本幸四郎さん、坂東玉三郎さん (2015年は市川染五郎さんと片岡孝太郎さん)が演じました。

3月に観た時は、我が子を殺されなければならなかった松王丸とその妻千代に同情して泣けたのですが、YouTubeで見たバージョンでは、逆に源蔵、戸浪夫婦にすごく心を動かされたのでした。同じ作品でも役者さんによって違うお芝居に見えたのが興味深くて印象に残りました。

子殺しという不条理も一方で忠義という条理と表裏一体で、一方を立てようとしてもう一方を犠牲にしなければならなかった源蔵、戸浪の背負わされた悲劇。そして一方を立てる為に一番大事なものを犠牲にしなければならなかった松王丸と妻千代の悲劇。それに対して「すまじきものは宮仕え~♪」と哀しく謡う義太夫の詞が作者の言葉であり、このお芝居の本質だったのかなとは、YouTubeで見直して朧気に気づいたのでした。

菅原伝授手習鑑には全編様々な別れが出てきますが、この通し狂言の伝えていたものの大きさに、劇場で観終わってしばらくしてから改めて気付いたのでした。

また、作品の登場人物というのは役者さんがその方なりの解釈をして演じられているので、観客である私たちはその方のフィルターを通してその役を観ているのだなとか、役者さんのキャラクターも加わって、私たちは役柄を観ているようで、実は役者さんの人柄、役者さん本人を観ているのかもしれないと思ったのも、この作品の仁左衛門さん、勘三郎さんを観て改めてでした。だから歌舞伎って同じ演目でも、役者さんがが違えばまた違ったものが見えて、何度見ても面白いのだろうなと思ったりしました。

トップ5、もしこのYouTubeで見た「寺子屋」が今年上演だったら断然1位でした。
でも今年三月の「菅原伝授手習鑑」の仁左衛門さんの官丞相は圧巻だったし、「寺子屋」の染五郎さんの松王丸も正義漢でカッコよかったし、妻の千代は孝太郎さんの儚げな千代で刷り込まれました。
来年はもっと多くの演目が観られたら嬉しい。(今年の評価にはほぼ入っていませんが)義太夫や長唄、清元、お囃子などがもっと味わえるようになりたいものだと思います。歌舞伎にどんどんのめり込んでいる私って・・・・・いいかも! (今年の自己評価) ハハハ (笑)