「破壊は創造の始まり」

入社以来、会長の有名な言葉を耳にしたり、本で読んだことがある。まさに、我が時代にやるべきこと、すなわち、この言葉通りに始まった。この言葉は、古くはヒンズー教のもとになったバラモン教の「創造」「存続」「破壊」の過程が永遠に繰り返される輪廻「りんね」の思想から出たものと言われている。
しかし、破壊と言っても100%破壊してしまうことは出来ない。それは、金魚の水を換えるがごとく、古い水を少し残しながら水を換えていかなければ、金魚は死んでしまう。

まずは、一旦否定することから第一歩が始まった。
当時の台北支店は、朝出勤しても、「おはよう」の一つも交わさない悪い慣例が残っていた。下手をすれば、一日中挨拶、または会話を交わさずに一日を終えてしまう社員もいた。ひどい話だけど、退勤時間が来ると、それこそ何も言わずに逃げるようにして事務所を出て行くような状況であった。

身の周りの小さいことから、始めよう。
日本語でもいい。中国語でもいい。朝、出勤した時は「おはようございます。」「早安。」退勤する時は、「お先に失礼します。」「我先走了。」「ありがとう。」「謝謝。」「すみません。」「対不起。」または、「不好意思。」と、大きな声で言うことから始めよう。

こんな子供染みたことから教育していかなければならないとは、情けない話であった。
この挨拶から変えて行ったことによって、みんなに笑顔が戻ってきた。これは、小さな一歩であったが、まさに未来への大きな飛躍であった。(1993年のことであった。)