「2時22分 ゴーストストーリー」をシアタークリエで鑑賞してまいりました。
2021年にロンドンで初演され、世界中で話題を呼んだ本作。待望の日本初上演となる今回は、加藤シゲアキさんをはじめとする4人の実力派キャストが、濃密な密室劇を繰り広げます。
とにかく「ネタバレ厳禁」の箝口令が敷かれている作品ですので、物語の核心には触れず、その魅力を綴ってみたいと思います。
舞台はロンドン郊外。サム(加藤シゲアキ)とジェニー(葵わかな)の夫婦は最近古い家を購入し、自分たちで増改築をしながら1歳の娘フィービーと暮らしています。
ある夜、友人ローレン(南沢奈央)とその恋人ベン(松尾諭)が新居を訪れると、ジェニーは「この家には幽霊が出る」と言い出します。幽霊は決まって2時22分に現れ、子供部屋でベビーベッドの周りを歩き回るのだと![]()
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物理学者として合理的に否定するサム。対照的に、目に見えない恐怖に怯えるジェニー。ジェニーは2時22分まで残って、何が起きるか確かめてほしいとローレンたちに頼みます。
2時22分が近づくにつれ4人の空気は張りつめていきます。果たして2時22分に何が起きるのか……
客席から見える位置にデジタル時計が設置され、観客は舞台上の登場人物と一分一秒を共有することになります。
舞台のほとんどは見通しの良いキッチンとリビング、下手に2回の子供部屋と寝室につながる階段。階段は少しだけ見える構造で、その先で何が起きているのか、観客は不安をかきたてられます。
そして、時折響く野生のキツネの鋭い鳴き声。ロンドンならではの演出が、心臓を直接掴んでくるような不気味さを演出していました。
4人が飲みながら幽霊について議論するうちに、それぞれの生い立ち、死生観、宗教感、愛情などがあらわになります。
2時22分が近づくにつれ、緊張が極限まで高められていき、そして訪れる思いがけない結末。
ある登場人物が、「人間の中でいちばん大きい感情は恐怖である」と言います。
しかし、終わってみるとこれは「恐怖」ではなく「愛」の物語だったと気づかされます。
ミステリ好きとして「結末を当ててやる!」と意気込んで臨んだ私ですが、推理は完全に空振り。それほどまでに、伏線の回収が見事でした。
主演の加藤シゲアキさんの、理屈で論破する「嫌味」な役作り。実はその演技こそが結末を際立たせる仕掛けとなる最大の効果でした。
終演後、友人と、あそこが伏線だった、そういえばあれも、これも、と気付きを語るのも楽しい時間でした。
また、「ねずみとり」と同様に、ミステリ劇のお約束、終演のご挨拶での「ネタバレ厳禁」の注意まで、楽しかったです。
結末を知ったうえでもう一回見たくなる作品でした。
P.S. ちなみに…
本作はロンドンでも繰り返し上演されていますが、サム役には映画『ハリー・ポッター』のドラコ・マルフォイ役で知られるトム・フェルトンも名を連ねていました。
作品データ
舞台「2時22分 ゴーストストーリー」
作:ダニー・ロビンズ
演出:森新太郎
出演:加藤シゲアキ、葵わかな、南沢奈央、松尾諭





