【国鉄バスカタログ】527形・537形(その3) | 国鉄バスカタログ

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今日は日野製5型車の第3回です。
1980年式(昭和55年式)~1982年式(昭和57年式)となります。

 

 

527-0011
棚倉自動車営業所に所属していた1台。1980年式(昭和55年式)。
国鉄バス専用道を走る白棚(はくほう)線用の長尺車が多い棚倉自営だが、
ローカル路線用に短尺の車も在籍していた。
形式RE101。軸距4.8m、搭載エンジンは予燃焼室式のEB400(190ps)。
サイズも出力も、大型路線バスとしては一番小ぶりなスペックの車である。
長尺で堂々としたRC系の車と並ぶとかわいらしく見えたものだが、
過疎路線の主力として活躍した欠かせない1台であった。

 

 

 

527-0011 日野RE101 (日野) 棚倉自動車営業所
イメージ 1

 

 

 

527-0004
北海道札幌周辺に投入されたグループで、0001~0009を調達。
軸距5.67mの長尺車。搭載エンジンは190psのEB400。低出力タイプでの導入だが、
平野部の自営に配属となったグループで大きな問題はない。

 

 

 

※この画像は民営化後の撮影

 

 

527-0004 日野RE141 (日野) 厚別自動車営業所
イメージ 2

 

 

 

527-0017
瀬戸自動車営業所の車で、形式はRC301。
軸距5.2m、機関は直噴式ER200(225ps)。
名古屋近郊の瀬戸市周辺で運用されるため、中ドアが引戸の仕様で納入されており、
外見としては上の北海道地区の車によく似ている。冷房装置は装備しない。

 

 

 

527-0017 日野RC301 (日野) 瀬戸自動車営業所
イメージ 3

 

 

 

527-0401
ブルーのガラスも凛々しい冷房車。上記3台と同年式だが高グレード車である。
金沢自営に配置されていたRC301。中扉は他地区の車と同じ折戸仕様となっている。
石川県の国鉄バスは、冷房装備車については「冷房車」のプレートを貼っていた。

 

 

 

527-0401 日野RC301 (日野) 金沢自動車営業所
イメージ 4

 

 

 

537-0015
こちらはシートは二人掛け主体で、国鉄形式が537形となっている。
短尺車のRE100・RE101は中部・関東・東北に多数在籍し、主力として使われた。

 

 

 

537-0015 日野RE101 (日野) 一ノ関自動車営業所
イメージ 5

 

 

 

537-0017
0016・0017の2両があり、関東向けに導入したもの。上記の直後の番号を持ち、
全長も同一で外観も酷似しているが、こちらは高出力RC系となっている。

 

 

 

537-0017 日野RC301 (日野) 宇都宮自動車営業所
イメージ 6

 

 

 

537-0401・0402
関東以東の日野5型については、観光地向けなどの一部を除いて
冷房装置搭載はされていなかったのだが、このロットでは試験的に装備された。
首都圏近郊の土浦に2両が配置され活躍。
しかし東日本地区の冷房化はこの後しばらく停滞の流れになる。
結局日野製2扉通常仕様路線車の冷房化は、国鉄時代には殆ど進まなかった。

 

 

 

※0402は民営化後の撮影

 

 

537-0401 日野RC301 (日野) 土浦自動車営業所
イメージ 7

 

 

537-0402 日野RC301 (日野) 土浦自動車営業所
イメージ 8

 

 

 

537-0904
冷房はもちろん、エアサスまで装備の高級版。窓も観光バス風の引き違い式。
通常のRC301にエアサスを追加した形式である(末尾Pが空気バネ車を示す)。
能登半島の穴水自営向けとして0901~0905の5両を導入したが、うち0902~0905は
穴水自動車営業所能登飯田支所配置となり、本所には0901の1両のみが置かれた。
一般路線運用のほか、定期観光や貸切需要にも対応できる装備を持っていた。

 

 

 

537-0904 日野RC301P (日野) 穴水自動車営業所能登飯田支所
イメージ 9

 

 

 

537-1004・1013
北海道都市圏輸送用として、毎年多くの車両が投入されてきた。
1981年度もかなりまとまった台数を配置している。
かつてはRC系長尺で揃えられていたが、モデルチェンジでRE系の出力が向上し、
1978年度以降道内ではエアサス車以外をRE系で調達することとなった。
また従来多く見られた527形が減り、537形での導入が増えている。
この年度は1001~1019の12両が増備され、札幌圏などの自営に配置。
型式はRE141で、前年までと同じである。

 

 

 

※これら画像は民営化後の撮影

 

 

537-1004 日野RE141 (日野) 厚別自動車営業所岩見沢支所
イメージ 10

 

 

537-1013 日野RE141 (日野) 札幌自動車営業所
イメージ 11

 

 

 

537-1020
1981年式(昭和56年式)、RE101。青森自動車営業所にいた車。
青森自営と言えば奥入瀬・十和田湖方面への幹線路線を連想するのだが、
青森市街周辺の一般路線も大切な任務である。低出力のこの車も勾配・
観光路線での運用は避けられて、主に短距離便として活躍したようだ。

 

 

 

537-1020 日野RE101 (日野) 青森自動車営業所
イメージ 12

 

 

 

537-1401
長野原自動車営業所に配置され、草津温泉への幹線路線などで運用された車。
山間路線ばかりの長野原自営には高出力車が多く配置されていたのが特徴。
この車もトップドア・冷房付きという仕様にとどまらず、高出力機関で武装している。
形式はRC701P改。RC7系は6気筒エンジン装備ながら長距離・観光向け形式であり、
このように路線タイプの車体を架装したものは比較的珍しい部類に入る。
元々エアサス装備の形式だが、路線用にリーフサス仕様に変更されて導入され、
空気バネ搭載のP記号を残したまま改造形式になっている。
軸距5.2mというミドルサイズの車だが、エンジンは270psのEK200。
長野原に2台だけ配置されていた希少車種である。

 

 

 

537-1401 日野RC701P改 (日野) 長野原自動車営業所
イメージ 13

 

 

 

537-2471
上の1401の増備車として、翌1982年度に長野原に導入されたもの。
同じくEK200を搭載した270psの高出力型だが、全長はより拡大されて
軸距5.67mのRC721P改となっている。
元々RC7系は長距離路線・観光用のシャーシであり、エアサスが標準なので
リーフサス型式(末尾に「P」が付かない形式名)が設定されていない。
国鉄では山岳路線向けとして採用されたためリーフサスで導入されたが、
エアサスのモデルをリーフサスに改めて導入するため、改造形式とされている。
このグループの固有番号は大きな数字になっているが、特に多数の納車が
あったのではなく、この年度からは末尾2桁が71番から振られたため。
従来の耐用年数である10年を上回って継続使用される車が増えたため、
重複を避ける意味合いで干渉しない領域を充てたものである。
1982年度の537形のうち537-24**の称号を持つ車は、このロットの2両
2471と2472のみしか調達されていない。

 

 

 

長野原に入る高出力車群は「山間路線仕様」とされ、民間に納入される
市販車とは異なるセッティングとされていた。ギア比が急勾配用で、
ゆえに平坦路線での高速域の走行には適しておらず、燃費も悪化しやすい。
あくまで草津や白根山への路線で能力を発揮できる車だった。
しかし私がこの車両を撮影したのは、どういうわけか東京近郊。
だから背景には山も森もなく、不似合いな風景しか写り込んでいない。
この車、一時東京自営に貸出となっていたのである。

 

 

537-2472 日野RC721P改 (日野) 長野原自動車営業所(東京自営貸出中)
イメージ 14

 

 

いすゞ5型の説明にも書いたが、上野~東京ディズニーランド間の
「東京湾岸線」開業に際して、本来6型車を増備するだったのだが間に合わず、
一時的な対応として関東地方自動車局管内から5型トップドア車を集めて使用した。
ほとんどは平坦地用だったが、一部山岳路線用も含まれていた。
この2472がそれで、元々都市部の運行など考慮されていない仕様である。
急場しのぎとはいえこの車を首都高路線で走らせようというのだから、大変。
元々のRC系なら高速走行性能も備わっているのだが、この車は勾配に振っている。
全開運転でも90km/hがやっと、常に過回転寸前の領域で運行することになり、
相当無理を押しての使用であった。

 

 

普段緑豊かな山間路線を走っていた車だが、都内を走っていた時期もあったのだ。
上野駅近くの街中で撮影した、貴重なひとコマ。
一般路線車5型が東京都内を走行したことは、おそらくこれ以降には
一度もないと思われる。見れば見るほど、つくづく不思議な眺めである。

 

 

イメージ 15

 

 

 

537-2073・2074・2075・2076
2072~2079までの8両を調達、東北管内の8拠点に一台ずつ分散配置した。
型式はRC381。従来のRC系は軸距5m超のラインナップに限定されていて、
東北のような短尺を必要とする地方にはRE系で導入にとどまっていたが、
軸距4.8mのRC系としてこの車が追加されたので、選択したものである。
ただし国鉄解散が決定しつつある時期、日野も次期モデルを開発しつつある頃。
生産期間もあまり長くはなく、537形として導入されたRE381はこのロット
8両のみにとどまった。

 

 

 

537-2073 日野RC381 (日野) 久慈自動車営業所
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537-2074 日野RC381 (日野) 福島自動車営業所川俣支所
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537-2075 日野RC381 (日野) 福島自動車営業所(青森自営貸出中)
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537-2076 日野RC381 (日野) 一関自動車営業所
イメージ 19

 

 

 

527-2080・2081
棚倉自営に配置された2078~2083の6両からなるグループ。
担当路線の特殊性から本州では珍しい長尺車が集う営業所、
この車両群も日野路線車で一番長いホイールベース(5.67m)で導入されている。
型式はRC321。日野のラインナップには低出力版のRE141も存在したのだが、
北海道では好まれたこの形式は本州ではほとんど調達されることはなかった。

 

 

 

527-2081 日野RC321 (日野) 棚倉自動車営業所
イメージ 20

 

 

白河駅前にて待機中の2080。この時からレトロ感溢れるいい駅舎だと思っていたが、
30年以上経過した現在でもほとんどそのまま(改装でむしろ綺麗になっている)。
かつて棚倉までの白棚線が分岐していた駅だが、鉄道路線はなくなっても
しっかり国鉄バスが鉄路の代替を受け持っていた。JRになって30年経つが、
その使命は今でもしっかり引き継がれている。

 

 

527-2080 日野RC321 (日野) 棚倉自動車営業所
イメージ 21

 

 

 

537-2971・2972
前述の0904の増備車として、1982年度に4両を能登半島に導入。
穴水自営とその支所に分散配置された、エアサス冷房付きの豪華仕様。
型式はRC301P、路線用シャーシに路線用ボディを載せているが、
引き違い式の側窓など観光車に準ずる仕様も持ち合わせており、
定期観光や近距離貸切にも応用できる汎用性の高い車だった。

 

 

 

537-2971 日野RC301P (日野) 穴水自動車営業所
イメージ 22

 

 

537-2972 日野RC301P (日野) 穴水自動車営業所
イメージ 23

 

 

 

次回は日野5型第4回。
1983年式(昭和58年式)以降の車をご紹介しようと思っています。