主人と出会って私はたくさんの幸せをもらった。

友達にも言えないわがままが言えたり、ありのままの私を愛してくれる人。

かけがえのない存在。

結婚して、新しい家族が増える希望に二人で毎日ワクワクしていたあの時。



あんなに幸せだったのに、どうしてこうなってしまったんだろう。

私が主人と過ごした約10年間は、一体なんだったんだろう。



主人が私を裏切ったという事実と、全てが自己否定に繋がっていく苦しさに涙が絶え間なく溢れ出す。



ベッドで体を丸めて泣いている私の背後で、主人は正座をしているようだった。

時折背中をさすってきたが、触れられただけで吐き気がした。

主人にとっては妻が泣いているから慰める、という行為かもしれない。

でも私にとって今の主人は、主人の顔をしたただのバケモノだった。



誰のせいでこんな目に!

浮気相手とセックスした手で触るな!

汚い!気持ち悪い!

どんな気持ちで家に帰ってきてたの!

平気な顔して毎日毎日私を騙して!

怖い!近寄るな!



口にするより先に涙が溢れて、どれも言葉には出来なかった。






ようやく涙が枯れ始めた頃には、日を跨ぐ時刻に近かったように思う。



その日は肌寒かった。



布団に入っていた私でさえ少し寒さを感じ始めた中、主人は薄着のままほとんど身動きもせず、ずっと私のそばにいた。