JAL再建の話題が喧しい。前原国土交通相の依頼によりIRCJのOBが登場してきた。再生村に末席を置く一コンサルとしては、ドリームチームだなと思う反面、またあの人たちかという二律背反の感想を持った。

さて、どういった再生計画が策定されるのか大変関心がある。

JALの財務諸表を見ていないので、あくまで想像レベルに過ぎないが、勝手にストーリー立ててみる。

まずは財務リストラをどう行うかが焦点となる。要は過剰債務を財務DDで特定する作業だ。JALの金融債務の大半はメインバンク、一部メガバンクと借入先は多くないため、債権者調整でもめる事は少ないだろう。よって債権放棄のスキームをどう行うかが最初の論点となる。

JALは傘下に数多くの子会社を有しているが、本業である航空事業の収益力が弱いため、第二会社方式をとるメリットは少ない。5期連続の赤字といった状況であることから、繰越欠損金は相当額あるため、債務免除益との相殺は十分可能である。よって、DESにより銀行債権を種類株式発行とすることで、過剰債務の削減を図ることが有効だ。これにより税金によるキャッシュ流出は防げる。但し、経営者責任、株主責任は追及することが前提でないとDESに銀行は応じないと思われるため、経営陣は全員退任し、減資も債権放棄率に順じて行われることが必要となる。

次に資金繰りだが、報道では四千億といった数字が挙げられている。銀行は債権放棄を行っているため、現在の借入先からの追加融資はまず見込めない。そうなるとDIPファイナンスか、第三者割当増資といったニューマネーが必要となる。運転資金はDIPで賄うのだろうが、問題は今後の成長戦略に必要となる増資だ。一体誰がスポンサーとなるのか?現在JALが交渉を進めているデルタかアメリカンか、それとも公的資金の注入か?

公的資金注入となると、当然事業ターンアラウンドの厳格性が求められる。現在JALが打ち出している不採算路線殻の撤退、企業年金の減額(引当金)といった打ち手は当然の事ながら、抜本的なコスト削減策が必要となる。路線の集中化によるオペレーション構造の効率化、人員削減を前提としたフライトアテンダント、整備士等の多能化による生産性向上といったコスト構造の転換が必要となる。そして、経営陣の総退陣に伴う事業ターンラウンドを担うターンアラウンドマネージャー(TAM)の存在が必要となる。

KFSとしては、次の3点と考えられる。

①財務リストラに伴い経営責任と株主責任を追及し、新しいTAMが参画できる環境をしっかりと整備すること
②再生計画を主導できるTAMの選任
③カネの出し先とTAMとのコワーク

こうなると、おそらくカネの出し先は公的資金とならざるを得ないのではないかと思う。公的資金注入に伴いJALのカルロス・ゴーンが必要となる。個人的にはIRCJのOBではなく、若くこれからというTAMが辣腕を振るうことを期待する。