前回の定量化の続き。
シナジー以外にも、経営目標や新規事業の事業性評価など定量化必要とされる
場面は多い。
ここでドンブリ勘定で設定する企業は2流企業である。
如何にロジックに基づいて、頭をひねって定量化できるかが重要である。
当たり前の話だが、客観性、納得性、妥当性が生じ、コミットメントが圧倒的に高まるのである。
「フェルミ推定」という言葉がある。何でもイタリアのノベール物理学賞を受賞したフェルミという
方が学生に問いかけた問題である。
「日本に電柱は幾つありますか?」
「シカゴにピアノ調律士は何人いるか?」
という知識だけでは答えられない個々の構成要素を推論することで、全体構造を構築すること
で定量化する方法論である。
コンサルファームの面接では必ず出題される問題である。
試しに一問。
日本にリモコンはいくつあるか?
このケースにおけるリモコンは受信機に対してある機能を指示する無線送信機とする。通信機器は含まない。日本における受信機数の普及数からリモコン数を算出する。
日本における受信機=A.家電系+B.家電以外と分解できる。A、Bそれぞれについて受信機セグメントを分析し算出する。
A.家電系=イ.屋内系家電+ロ.屋外系家電に分解できる。まずイ.屋内系家電=①テレビ+②ビデオ+③DVDレコーダー+④オーディオコンポ+⑤冷暖房機+⑥照明と分解できる。①~⑥の世帯普及率と1世帯あたりの台数からリモコン数を算出する。屋内家電普及率(普及台数/世帯)=①テレビ100%(1.5台)+②ビデオ60%(1台)+③DVDレコーダー40%(1台)+④オーディオコンポ80%(1台)+⑤冷暖房機90%(1.5台)+⑥照明100%(0.5台-照明リモコンの普及個数)となる。日本における世帯数を4500万世帯と仮定すると、イ.4500万×(①1.5+②0.6+③0.4+④0.8+⑤1.35+⑥0.5)=2億3,175万個になる。
ロ.屋外系家電=⑦カーナビ30%(1台)+⑧キーレスエントリー20%(1台)+⑨携帯オーディオ70%(0.1台)と分解できる。よってロ.4500万×(⑦0.3台+⑧0.2台+⑨0.07台)=2,565万個となる。
以上よりA.家電系=2億5,740万個となる。
B.家電以外では開発中自立型ロボットが考えられる。日本企業を300万社とし、製造業の割合を30%、さらにロボット開発メーカーを10%とすると、B.300万×30%×10%=9万個となる。
よってA+B=2億5,749万個となる。
この考え方、ロジックを用いてあらゆるシーンでの定量化を試みるのである。