㉜のつづき 

 

 試験会場に到着したもみじ君、自席に着いて周りを見回してみます。 

 

清潔なオフィスビルの会議室といった感じです。 

 

試験官やその助手のと思しき3人の方々(法務省の職員さんと思われる)が、配布する諸々の文書類を扱っておられます。 

 

若い・・・。 

 

いや、自分が年を取っただけか。 

 

縦長の部屋に長机が3列。 

 

もみじ君は中央の長机でしたが、中央だけ二人席。両サイドは一人席でした。 

 

後から入ってこられた受験生の方は、中央の席である自席を確認するなり 

 

「あ~っ今年は不利な席かああ・・・。狭い狭い・・・」 

 

とブツブツ呟かれて居ました。 

 

なるほど、よく自席を確認すると、右側にもうひと椅子あり、そこに人が来られたら狭そう。 

 

そうか、こういう運要素もあるのだなと思いました。 

 

おもむろに文具の準備を開始。 

 

心配性なので関数電卓から消しゴム、シャー芯まで全て2つもってきたのです。 

 

殆ど強迫観念ですねえ。 

 

それらを自席右側にバリゲートのごとく配備し、隣人の来場に備えます。 

 

すると、前の席にいかにもベテラン然とした受験生が座ります。その方、ささっと手早く文具を並べ、ボールペンを試し書き。 

 

「ん?今日はインクのノリが悪いな…ならこいつで勝負するとするか…」 

 

なんて呟いておられる!!! 

 

もみじ君は大いにビビりました。 

 

当日のインクのノリでボールペンをセレクトするなんて!

こんな百戦錬磨の猛者がいらっしゃる試験を勝ち抜けるのか…?

 

イカン!邪念が!! 

 

気を取り直して自分のことに集中します。 

 

試験官の方が説明を開始されるまで、とチョコレートや森永ラムネをアテにファンタグレープをグビり。 

ブドウ糖を存分に補給します。 

 

やがて、試験官のお話しの後、解答用紙が配られました。 

 

解答用紙には様々な情報が記されているから、開始前に頭の体操としてあれこれ思考をめぐらします。 

 

うん?穴埋め多くない?? 

 

解答用紙にはそれ以外、近年にない特殊な点は見当たらず、建物が区分建物でない事もわかりました。 

 

試験官に促され、各解答用紙に受験地や受験番号、氏名をカキカキ・・・。 

 

そうこうしていると、あっという間に試験開始の時間になりました。 

 

 

㉞につづく