風薫る五月、新緑が目にまぶしい。
だが、私にはこの時季に苦手なにおいがある。
緑の青臭い香りだ。
高校の通学路でこのにおいに気がついて以来何の木だろうと思っていた。

それが判明した。

この日、某大学の塀伝いに歩きながら、匂ってくるにおいについて聞いてみた。
「今、毎日この匂いをかいでいるんでしょ。くさくない?私は苦手。」

そうしたら即答!
「これですよ。ブナ科のスダジイ(スダ椎)。」
指差す方を見ると大木が風にそよいでいた。

「ほら、あの上。きれいというのではないけど白い花が。」
見上げると、
木のてっぺんにカリフラワーのようにこんもりと白い小花の集まりがあった。

そうだ、そういえばこの人は動植物研究会の人だったな。
まさしくぴったりの人に教えてもらったことになる。

苦手意識は変わらないだろうが、
これから毎年この匂いをかぐたびにこの人のことを思い出すんだろうなあ。

後で調べてみた。
別名 シイノキ【椎の木・しいのき】で ブナ科シイノキ属の木。 
  ドングリは「椎の実」として知られているそうだ。