業務スーパー(業スー)は、オリジナル商品を格安の価格で提供しており、消費者に大人気である。バラエティ番組で頻繁に取り上げられ、業スーのオリジナル商品を使った節約料理が一気に普及した。最近では、円安や原材料価格上昇をうけて、複数回の値上げを実施しているが、それでも他のスーパーよりも価格競争力のある商品が多く、人気は衰えていないようだ。

 

業スー店舗はほぼすべてがFC店。兵庫県にある神戸物産という東証プライム上場企業がFC本部を運営し、オリジナルのプライベートブランド(PB)商品を提供している。

 

PB商品には、①神戸物産グループの食品加工業者による自社工場製品②神戸物産が独自に買い付けた輸入品、の2通りがある。どちらもナショナルブランド(NB)商品より利益率が高く、同社の利益を支えている。PB商品は神戸物産から業務スーパーFC店舗数への卸売売上の33%程度を占める。冷凍食品や常温保存可能な商品の割合が高く、在庫管理が比較的容易なものが中心。統一されたブランドはなく、商品のパッケージに「販売者/輸入者 株式会社神戸物産」と書いてあるのがPB商品である印である。

 

子会社(株)朝びき若鶏の自社工場で加工した鶏モモ肉(チルド)

 

韓国から輸入したチヂミ(冷凍)

 

中国から輸入した水餃子(冷凍)

 

一般に、PB商品は、広告宣伝費をかけない分、競争力のある価格で提供可能になっている。また、同社では製造を内製化することで一層の価格競争力を実現している。さらに、同社グループの自社工場の一部は、業績不振で安く売りに出ていた食品加工業者を買収することで手に入れたものであり、設備投資の低減に一役買っている。PB商品の製造業者がバラバラな名前なのも、そんな事情に由来している。

 

神戸物産では、PB商品の高い利益率をバックに、NB商品も安売りすることが出来ている。同社はNB商品で利益を出そうとはしていない。