みなさん、こんにちは。
ご覧くださりありがとうございます。

今回は水質とコケについて、pHに掘り下げてお話しします。

よく水草水槽では「“弱酸性”にしましょう!」とか「ソイルは“弱酸性”になります!」というお話しが多いです。
水草水槽の底砂、底床でよく使用される“ソイル”にはpH調整機能をうたったものも多くあります。
わたしもそんな製品を使っている一人です。

なんでそんなことが必要なんでしょう?
今回はその辺のお話しです。

※おことわり※
話の流れ上“バケガク、化学”や“生物学”の用語を使います。
なるべく使わないようにしますが、許してください。

◎「コケ」の正体:
みなさんが大嫌いな「コケ」、でもみなさんが大好きな「ウィローモス」「リシア」もコケの仲間です。
実はわたしたちが「コケ」と呼んで嫌っているのは、藍藻、シアノバクテリアというもので、「藻」なんです。
要は嫌な「コケ」と好きな「コケ」は別物、ってことを把握してください。

◎光合成:
植物細胞は葉緑体をもち、光合成という化学反応を行い栄養分を作ります。

二酸化炭素 + 水 + 光のエネルギー → 炭水化物(糖) + 酸素

とても有名な化学反応式です。
さらっと書きましたが「二酸化炭素」がキーポイントです。

◎二酸化炭素が水に溶ける:
水草水槽をされるみなさんは二酸化炭素、CO2を強制添加、シュワ〜っとさせていると思います。
また水槽内のお魚たちも呼吸をするので、二酸化炭素を排出します。
それらの二酸化炭素はある程度は水に溶けます。

◎水に溶けた「二酸化炭素」の振る舞い:
水に溶けた二酸化炭素は以下のような変化を遂げます。
・炭酸、H2CO3
・重炭酸イオン、HCO3-
・炭酸イオン、 CO2 3-
※淡水のアクアリウムで問題になるのは、炭酸と重炭酸イオンです。
多くの生物は「炭酸」から水、H2Oを抜き取る酵素を持っています。水草などの植物は炭酸→二酸化炭素で光合成に利用します。

◎炭酸と炭酸水素イオンとpH:
炭酸や炭酸水素イオンはテキトーに分布するのではなく、pHによって存在比がわかれます。
炭酸と炭酸水素イオンとpH」のリンクをみてください。
横軸で弱酸性はpH 7より少し小さい、中性は7、弱アルカリは7より大きいことになります。
pH7の中性やそれより大きい弱アルカリだと二酸化炭素のほとんどが重炭酸イオンとして水中に存在します。
pH6.4あたりの弱酸性だと半分くらいは「炭酸」で存在します。
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※↑へたっぴですが、イメージです。
※青が「重炭酸イオン」、緑が「炭酸」になります。


◎水草と二酸化炭素:
先に書いたように植物は「二酸化炭素」を使って光合成します。
「炭酸水素イオン」ではないんです!
水草育てたいなら“弱酸性”!という大きな理由のひとつです。
※炭酸水素イオンは絶対に使えないというわけではなく苦手、というのが正確らしいです。

◎「コケ」と二酸化炭素:
ところがコケは炭酸水素イオンを取り込んで光合成に利用することが得意なんです。
さっきのWikipediaからの引用ですが、
炭酸固定の基質として、細胞内に重炭酸イオン(HCO3) を大量に蓄積する。”ってあります。
コケりたくないなら“弱酸性”!の大きな理由がこれです。
せっかくシュワ〜って強制添加した二酸化炭素はコケのエサになっちゃいます!
弱酸性なら水草が二酸化炭素を利用できる → コケのエサを減らせる、っていう訳です。
※ゼロにはなりませんけどね。

よく「水草水槽で二酸化炭素強制添加するならpHも気にしましょうね、弱酸性にしましょうね」って言われると思いますが、その理由がこれです。
水草水槽したい、コケりたくないならpH6.4くらいかな、とわたしは思っています。

ふ〜ん、とか、へ〜、って思ってくだされば嬉しい限りです。
ではでは、今回はこの辺で。

お付き合いくださりありがとうございました。

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