過日、家族を連れてレンタルショップに行ったら、『パーフェクト・ドライバー』のDVDが既に並んでいた。本作は今年1月にバルト11で確か2週間の限定上映があったばかりだ。そして私の「月に一度は劇場で映画観賞」の2023年初っ端の作品だった。「月イチ」では初の韓流映画だった。

 


 本作は、脱北者という過去を持ち、卓越したドライブテクニックを持つヒロインが、ひょんなことから野球賭博に絡む陰謀に巻き込まれ、その渦中の少年を命がけで守る、という物語だった。ヒロイン・ウナを務めるパク・ソダムと、少年・ソウォン役のチャン・ヒョンジュンが、共に『パラサイト 半地下の家族』で競演した‟アカデミー”コンビで、そこも本作の売りの一つだった。

 サブタイトルに「成功確立100%の女」って謳ってあるので、一応ウナのミッションは最終的に成就することになっているのだが、その過程が何とももぞかしく、且つ悪辣で陰惨だ。彼女もミッションの過程で仲間を失うし、彼女を執拗に追い詰める悪徳警官のギョンヒル(ソン・セビョク)も国家権力をかさに卑劣極まりないし、『必殺仕置人』でいうならば、仕置人に叩き殺される前の、悪党どもの悪行を2時間ドラマの尺で観させられているような感覚だった。

 それにしても、これも国民性なのか、韓流映画は人の命を粗末にしすぎる。そして「人間」に対する尊厳が足りなさすぎる。本作でも金属バットやゴルフクラブで平気で人の頭を殴打する。しかも笑いながら冷静に打ち据える。また手の甲にくぎを刺したり、痛々しいことこの上ない。そして悪いことにやられた側もなかなか死なないから、ますます痛々しさが増してくる。これって日本では『孤狼の血LEVEL2』あたりが踏襲している感があるが、あの作品も何とも痛々しかった。ここら辺のバイオレンスぶりは、ハリウッド映画ともまた違ったエグさに充ちている。『復讐者に憐れみを』しかり『オールドボーイ』しかり。そういえば前述の『パラサイト』でも後半はそんな感じだった。

 何はともあれ、このような凄惨なシーンは何度も登場するものの、物語そのものは比較的ハッピーエンドを迎える。絶望的な結末の果てに全く違った価値観が見えてくるのが特徴の韓流映画(『グエムル』では主人公の娘は最後の最後で助からない、『スーパースター☆カム・サヨン』では最後の最後にカム・サヨンが勝利投手を逃す、等々)の中では異色といえる。それ故、物語が進んでいくにしたがって、可憐さとやさしさがにじみ出てくるパク・ソダムの魅力も相まって、レンタルが開始された今こそ、是非観てほしい映画だ。痛々しいのはひとまず置いておいて(;^_^A

 


 そういえば、本作観賞時、ポストカードをおまけにもらったのだが、そのビジュアルが最高だった。まさに昭和の洋画ポスターのテイストに満ち溢れていて、掲載された惹句も含め、すっかり虜になってしまったよ(;^_^A こっちの方をチラシやポスターのデザインにしてくれたらよかったのに(;^_^A  昭和世代はもっともっと劇場に足を運んだかもよ(;^_^A