母を葬儀場に送るまでに
ひとつしないといけないこと

おくりびとでご存じの方も多いと思います
そう
「納棺の義」です


葬儀屋さんの手配で納棺師のかたが二人来てくださいました
とても丁寧に優しく母の支度をしてくださいます
旅立つ時の着物は決めていました
父、母に初めて買ってもらった着物
初めて自分のために縫った着物
成人式の振り袖の代わりに買ってもらった着物
そう、私の着物



母の着物姿
とても似合っていました

それをみていると
涙が溢れてきてとまりません
というか、納棺の準備が始まった時から泣いていました

だんだんとこの家から居なくなる時間が迫って来たことを実感しました

こらえてもこらえても涙がとまりません
身体が震えてくるくらい涙がでます
肩の震えがとまらない
息をするのも辛くなる


納棺の義の間
ずーっとずーっと大泣きでした
亡くなったときよりも
このときの方が寂しかった
このときのほうが涙が出ました


棺桶に納められた母の姿
綺麗に化粧をしてもらった母微笑んでいるようです



この家から母が居なくなる
もう帰ってこない
と思うと

あかん!
あかんねん!
お母ちゃんはここにいなあかんねん!
やっとやっと帰ってこれたのに!
いったらあかん!
と叫んでいました


家から出ていく母を追いかけてひきとめようとしていました
誰かが後ろから私を抱えていひき止めていました
優しく声をかけて私を落ち着かせてくれました

棺桶を葬儀のスタッフとpapaと息子どんが運び出します
母が私から離れていく
私をおいていく………


なんで!
なんで連れていくの!
あかんって!

頭では解っているんだけど
耐えられない寂しい辛い感情が勝手に行動にでる



今から考えると
母が亡くなったとき実家に連れて帰る
この事しか考えていませんでした
覚悟していませんでした

帰りたいといい続けていた実家にやっと連れて帰ることが出来た
これで私のミッションは終了していたのです
完結したのに
完結したはずなのに

母が居なくなる
その時一番の寂しさが悲しさが私を襲いました


私の声も聞き入れてくれることなく
母は葬儀屋さんの社長の運転で葬儀場に連れていかれました




社長……………
社長は友達で
友達だからこそこの辛い役割をしてくれたのかもしれません

最近
社長に会いました
「私の母を実家から連れ去ったのは社長や!憎んだる~」
と嫌みだけ言っておきました  笑

後からスタッフの方から聞きました
社長は納棺師さんに事前に御願いをしてくださっていたそうです

感謝
本当に感謝です





この家に母は帰りたがっていました