私が死んだら墓石にはこう書きます。「私が愛したのは仕事じゃない、あなたよ」って。娘がいなければ今の私がなかったことは確かです。

と、昨日亡くなった吉田晴乃さんは、そういっている。
英通信大手BTの日本法人、BTジャパン社長だった2015年に経団連初の女性役員に就任し、女性の活躍推進や規制改革の分野で尽力した人物だ。

1964年生まれで、男女雇用機会均等法施行直後に大学を卒業した均等法第一世代、同じ学年。同じ時代を生きてきた人間として、吉田氏がどれほど凄い人かは言葉では言い尽くせない、尊敬の、、いや雲の上の人のような存在だったが、氏の風貌や着る服については、多くの媒体から意見を求められてきた。

そのたびに、この方については実際にお目にかからない限りは　あの華やかでインテリジェンスに満ちた外見について「完璧」としかいいようが無い格好良さだったため、その機会が訪れるまでは封印してきたのだった。今となっては後悔しかないが　でもやはり外見からだけこの人を語ることなどどうしてできようか。

しかしなんということか、昨日その後本人が亡くなってしまったのだ。こんなショックなことがあっていいのか。
彼女の死に、世界中のどれほどの女性たちが今　嘆き惜しんでいることだろう。それは私をはじめ多くの働く女性たちが、その存在をロールモデルと感じ、頑張ってきたからでもある。

しかし私が惹かれてきたのはもっと、一人の女性としての生々しさだった。シングルマザーとして一人のお嬢様を育て上げ、成人式の日のお着物姿を見て泣かれる姿。母の日にゴルフに行き、最愛の娘がママを待ち、泣き疲れて眠る姿を見てどうしようもない自分と嘆いている。

冒頭の言葉は、そんな気持ちも含めた、正直な吉田晴乃さんらしいお言葉のように思います。

画像は皮のロングブーツを履いて登壇なさる姿など勝手にちょっと親近感。おこがましいがファッションを彼女と語れたなら朝まで生テレビだっただろうなぁと。涙。その卓越したセンスはお母様の影響が大きかったようにも思うが、お母様は絵に描いたような良妻賢母・専業主婦だったそうで、破天荒だった娘の晴乃さんを型にはめようと必死、しかし同時に「これからの女性は・・」と矛盾した考えがあったとも語られている。そんなことのすべても同世代として頷けることが多かった。
残念、という言葉で済ます気が無いので亡くなってからであってもこうして伝えていきたい、私はファッションの視点からと思っています。

最近ことによく触れている話題でもある、人は亡くなるということ。だからこその、今日、後悔しないようにと思いつつまた日は暮れていく。

#吉田晴乃

◆吉田晴乃　wiki
https://ja.wikipedia.org/…/%E5%90%89%E7%94%B0%E6%99%B4%E4%B…

吉田晴乃さんの死に思う。VOL.1