「チェルノブイリの野生動物は事故後に減少していなかった。福島の放射能も野生動物の抗酸化防御システムに悪影響は与えていないだろう」(英国の王立協会の学会誌で、ポーツマス大学ジム・スミス教授が発表)
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下のブログで見つけた記事です。興味深いので、要点のみ紹介します。
http://oka-jp.seesaa.net/article/264813577.html
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ロンドン王立協会は、1660年設立の現存する最も古い科学学会で、イギリスにおける科学者の団体の頂点にあたるもので、歴史的にも世界で最も権威のある科学団体です。
数日前、その王立協会の発行する学会誌に、英国ポーツマス大学の教授の長年の調査による研究結果が発表されました。
それは、
というものでした。
チェルノブイリの鳥の個体数の長期間の研究で、チェルノブイリの放射能は少なくとも長期的な面からは、野生動物の個体数には影響を与えなかったということが判明したという論文です。
さらに、この研究は「生物が放射線に対抗するメカニズムを解く鍵」も与えてくれるものとなっています。生物にはアンチオキシダント防御メカニズム(抗酸化防御のシステム)というものがあり、これまでの科学者の考え方では、放射能によりこの抗酸化防御のシステムが損傷を受けることによって、生物が死傷したり、個体数が減るという考えだったのですが、「それがなかった」という結論です。
つまり、放射能は生物の生体メカニズムに損傷を与えないという新しい研究発表ということになります。
そして、この論文を書いた教授は「福島の現在の放射能の例にも当てはめられるだろう」と語っています。
つまり、福島とその周辺の野生生物は事故前と変わらずに生体システムに損傷を負うことなく健全に成長し続けるだろうと述べているということになります。
ちなみに、調査を行ったのは、チェルノブイリの事故を 20年間にわたって現地で調査し続けているジム・スミスという科学者で、英国ポーツマス大学の教授であると共に、国際原子力機関チェルノブイリ・フォーラムの委員であった人です。
チェルノブイリ事故との関わりの深さでは世界の科学者の中でも特に深い関係を持つ科学者の一人だけに、その論文には重みがあります。
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以下が元記事の翻訳です↓
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Wildlife Thriving After Nuclear Disaster
Nano Patents and Innovations 2012.04.11
放射能事故後にチェルノブイリで増加し続ける野生生物
もしかすると、チェルノブイリや福島での原発事故による放射能は、これまで考えられているほど野生動物に対して有害ではないのかもしれない。
英国ポーツマス大学のジム・スミス教授と調査チームによる最新の研究は、1986年4月に発生したチェルノブイリの壊滅的な原発事故に対しての初期の調査報告に対しての嫌疑と再確認を含めてのものだった。そのチェルノブイリ事故の初期の報告では、放射線が現地の野生の鳥の生体と個体数に大きな悪影響を与えたというものだった。
今回のスミス教授の研究での発見と調査結果は、ロンドン王立協会の『バイオロジー・レター』に発表される。
この内容は、日本の福島で 2011年に発生した原発事故での野生生物への影響についても当てはめて考えることができると思われており、放射能の生物学的影響についての議論について進める中で重要な論文となる可能性がある。
今回の研究を率いたポーツマス大学地球環境科のジム・スミス教授は以下のように述べる。
「私自身は今回の調査結果にそれほど驚いてはいません。これまで、チェルノブイリ事故の野生生物に対しての放射能の被害についての報告や調査を私たちは数多く見てきましたが、しかし、実際には重大な損傷を見いだすことはできていませんでした。そのため、私たちは以前から、事故後の自然環境と野生生物への悪影響については確信を持てなかったのです」。
「そして、私たちの今回の調査と研究では、放射能による若干の野生生物への影響はあり得ても、長期的に見れば、チェルノブイリの立ち入り禁止区域(閉鎖地域)での野生生物の生体数は回復し、増大しており、むしろ以前より良くなっていることも見いだされています」。
これまで、科学者たちは、チェルノブイリの事故の後、放射能が鳥のアンチオキシダント防衛メカニズム(抗酸化防御システム)に損傷を与えたことにより鳥の個体数に大きな影響を及ぼしたと考えていた。
しかし、スミス教授と研究チームは、今回、この影響についてを定量化した。放射線からの遊離基(対になっていない電子のこと。フリーラジカルとも呼ぶ)の産出をモデル化したのだ。
そして、チェルノブイリと福島で見られる類似した密度レベルでは、鳥のアンチオキシダント防衛メカニズムは、放射線に簡単に対処できることができると結論した。
これは、放射線が鳥の抗酸化防御メカニズムを損傷したというこれまでの考えとは相反するものだ。
スミス教授は以下のように述べる。
「チェルノブイリの鳥の抗酸化防御レベルの変化は、放射能からの直接的な影響ではないことを、私たちの発見は示しました。鳥以外の野生生物の持つ抗酸化防御のシステムも、鳥と同様に放射線に抵抗する力を持っていると考えています。つまり、福島の放射線濃度でも、野生生物に(生体システムへの)酸化性の損傷を与えることにはならないはずです」。
また、教授はこう続ける。
「チェルノブイリの事故直後には、とても高い放射線のレベルが生物たちに深刻な影響と損害を与えたことは有名です。しかし、その後の、野生動物に対しての長期間の悪影響が見いだせないのです」。
「事故の後も、チェルノブイリの閉鎖区域にとどまり調査を続けてるベラルーシとウクライナの科学者たちによれば、事故以降、地域では事故前より野生生物の個体数が大きく増加したことが報告されています」。
スミス教授は20年以上、チェルノブイリで放射能汚染を調査し続けている。調査のために定期的にチェルノブイリの現地を訪ねる。スミス教授は、国際原子力機関チェルノブイリ・フォーラムの構成委員をつとめていたこともある。
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これは、原発事故によって周辺の生物たちが全く害を受けないというわけではなく、事故直後に一時的に害を受けても、長期的にみれば個体数に悪影響はないという事のようです。
スミス教授の論文
http://rsbl.royalsocietypublishing.org/content/early/2012/04/05/rsbl.2012.0150.long
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