茂木健一郎さんの「欲望する脳」という本を読んでいる。

この人は学問してるなーと尊敬すると同時にそれを噛み砕いて誰にでもわかりやすく専門的な内容を還元してくれている、と思う。


大学の中間試験の勉強を終わらせてとっとと続きを読んでしまいたい。


あとがき がとても気に入ったので、そこから抜粋。


ーーーーー


 欲望のバランスを考える時に、「利己」(自分のために)と「利他」(他人のために)のバランスをとることはとても難しい。

 利他的であればそれで良いというのではない。「他人のためにつくす」という言葉は一見美しいが、気をつけないと時にモラル・ハザードや病的事象に結び付くことがある。社会と関わって仕事をし、生活していく上でも、自らの座標軸をしっかりさせなければ、流されてしまう。自らの価値観や願望に寄り添って活動することが、社会にとっても良い結果をもたらすこともある。

 私秘的な美意識や価値観から出発した創造行為の果実を社会全体が受け取る。そこには、「利己」と「利他」の難しい交錯がある、かつて、アルベルト・アインシュタインは「創造性は個人にしか宿らない」と言った。自分という小さな宇宙に沈潜することが、かえって広い世界へと導いてくれることもある。

 自分であることと、他者と向き合うことの緊張関係の中で、欲望のありかたの間(あわい)をはかる。恋愛に似たそのような生のバランスの中に、私たちは生き方を模索していくしかないのだろう。たとえ、それが神の視点から見たらひょっとしたら意味のない一つの無限運動だとしても、終わることのない希望や後悔の螺旋の中を、ぐるぐると回っていくしかない。人生という「偶有性の海」の現場はそこにしかないのだから。


茂木健一郎 「欲望する脳」 あとがき より


ーーーーー