KIZUNAファクトリー興行PAドラゴンスピリット無差別王座決定リーグ戦
※ 実況:沢木哲也
解説:鹿沼千尋(鬼道流骨法師範代)
麻生涼音(サブミッションアーツ師範代)
リングドクター:椿 大介
レフリー:南 悠里
沢木哲也 「最強はいったい誰なのか? 最強を決めるために開催されるドラゴンスピリット無差別リーグ戦。その最後のひと枠を争うために8人の闘士が火花を散らします。実況は私、沢木哲也。解説は鬼道流骨法師範代、鹿沼千尋さん、サブミッション・アーツレスリング師範代、麻生涼音さんでお送り致します」
鹿沼千尋 「ども!」
麻生涼音 「よろしくお願いします」
鹿沼千尋 「最強なんてホントはないんですけどね。そのとき、その瞬間、勝ったか負けたかでしかないんだけど」
麻生涼音 「それを言い出したら、オリンピックからなにから世の中の大会そのものの否定になるから‥‥」
鹿沼千尋 「まあね。ただこの大会は今、いちばん強いヤツを決める大会になってるとは思うけど」
沢木哲也 「え~、1回戦に顔をそろえたのは、各界の有名選手ばかりなんですが。鹿沼さん、麻生さんのおふたりが注目する選手は?」
麻生涼音 「そうですね。サザンカップでその強さを知らしめた芙蓉亜季選手は優勝候補として当然なんですが‥‥」
鹿沼千尋 「今回、予選に世界クラスがいるんですよ、なにげに」
沢木哲也 「世界クラスというと?」
鹿沼千尋 「1回戦、第1試合で九条清美選手が闘うルーシー・ダイアモンドです」
沢木哲也 「ルーシー選手ははアメリカで柔術を学んでいる、総合挌闘家ということなんですが‥‥」
麻生涼音 「ええ。去年、アメリカで開催されたファイティングチャンピオンカップという女子総合の大会での優勝者です。日本で盛んなPRIDEとほぼ同じルールの大会で勝ちぬいた女子総合界の大物のひとりです」
鹿沼千尋 「間違いなく世界ランカーですね。実は今回の参加はルーシーの方からだったらしいんですよ。芙蓉さんが優勝したアブダビコンバットで準決勝で負けたのが悔しかったらしくて」
沢木哲也 「それでは、1回戦の様子を見て見ましょう」
● 1回戦 第1試合 九条清美対ルーシー・ダイアモンド
ゴングと同時にルーシーが突っかけていく。ワンディトーナメントということもあり、短期決戦を狙っているのがアリアリとわかる。
事前にビデオ等でかなり清美の試合を研究してきたのだろう。KOされるような打撃を清美が持っていないと判断し、ジャブの連打でどんどんと前に出て行くルーシー。
清美のほうは、なんとかパンチを掴みグラウンドに引き込みたいのだが、ルーシーの圧力に押されてドンドンと下がって行ってしまう。
沢木哲也 「ルーシーのパンチ連打を嫌い、九条清美が下がる!」
鹿沼千尋 「清美ちゃんはパンチにすごい苦手意識持ってるから。どうしても後ろに下がっちゃうんですよ。ダメだって言ってるんですけどね」
麻生涼音 「まあ、そのあたりは気持ちの部分があるから」
ルーシーが主戦場にしているFCCはリングでの試合になるため、コーナーやロープ際に押し込んでのパンチラッシュを叩き込むのは攻めの定石のひとつとなる。だが、ロープやコーナーのないマットで試合をおこなうプロレスリング・アーツでは、ブレイクゾーンへ出た場合も攻防がリセットされる。
いつものノリでラッシュをかけたルーシーだったが、いい形で攻めていたのがリセットされ、微かに舌打ちをしマット中央まで戻る。
沢木哲也 「ブレイク! ルーシーのパンチラッシュをなんとかしのぎ切りました!!」
鹿沼千尋 「しのいだっていうか、後ろにまっすぐ下がってブレイクゾーンに入ったって言うのが正解です。ちょっともったいないですね。5回しかないブレイクをこういう形でつかっちゃうのは」
麻生涼音 「それでもKOよりは、ね。このリセットで、流れを変えることができればいいんですけど」
再開後は、清美がパンチをかいくぐって腕を掴み、グラウンドに移行する。
合気道をその技術の根幹に持つ清美は、基本的にポジショニングは上手くないのだが、これまでのこのスタイルでの対戦経験を経て、かなり上達していた。実質的に、ルーシーよりは格段にそのテクニックは劣るのだが、もっと簡単にし止められると踏んでいたルーシーの顔色が明らかに変わっている。
焦りからか。不用意にマウントパンチを狙ったところ、清美に下から伸び切った肘を固定されてしまう。
沢木哲也 「九条清美がルーシー・ダイアモンドのマウントパンチに腕を絡め、外側から肘を極めたぁ!!」
麻生涼音 「らしくないですね。あんな不用意なパンチを打つような選手じゃないんですけど」
鹿沼千尋 「それだけ清美ちゃんが粘ったってことかな。ギブアップしないと、肘折れますね、あの角度は」
脱出しようとしばらくもがいていたルーシーだったが、このままでは肘が折れるというところで、ついにタップ。
九条清美が、1回戦を突破した。
▼20分1本勝負
●ルーシー・ダイアモンド(7分21秒 ギブアップ)九条清美○
※肘固め
●1回戦 第2試合 霞月いおり対ソフィーヤ・パーリィ
沢木哲也 「1回戦、第2試合。霞月いおり対ソフィーヤ・パーリィの試合は、開始直後から霞月いおりのラッシュが続いております」
鹿沼千尋 「いおりんにとっては、トーナメントとかリーグ戦とか関係ないんでしょうね。目の前の相手をぶっ倒す。それだけだから」
麻生涼音 「だけど、それだけじゃ勝てないのがPAだから。いいキックで蹴ってるんですけど、ソーニャも打撃対策はかなり積んでますね。毎回、成長の片鱗を見せてくれますから」
霞月のキックラッシュをガードを固めて、回避し続けるソーニャ。
リーチの関係もあり、なかなか当てることができない霞月のイライラが見ていてもわかる。攻めている霞月が焦り、受けているソーニャが余裕を見せるという展開が三分ほども続く。
沢木哲也 「霞月いおりが、身体を捻り強烈なスピンキックを放つ! 得意のカポエラ殺法かぁ!!」
麻生涼音 「気持ちはわかりますけれど、いい攻めじゃないですね」
鹿沼千尋 「勝負の分かれ目ってとこかな、ここが。‥‥ああっと、上手い!」
沢木哲也 「後ろ回し蹴り炸裂!! だが、ソーニャがそこで踏み込んで、霞月いおりの足を掴んだ!!」
足を掴んだソーニャが、そのまま霞月のつま先を脇に挟み込み、カカトを捻り上げる。
強烈なヒールホールドがマットの中央で極まり、瞬間的に霞月がタップ!!
▼20分1本勝負
●霞月いおり(5分07秒 ギブアップ)ソフィーヤ・パーリィ○
※ ヒールホールド