Angel☆Force 2000年9月興行“Angel☆Attack!!”

9月15日試合結果

大阪駅前、大鉄局跡地特設リング 午後1時開始

 JR大阪駅から徒歩1分という好ロケーションで行われたAngel☆Force旗揚げ興行は、旧淀川女子プロレス(現真日本女子プロレス)の中西葵、永田桃子、更に女性に人気の英国ハードボイルド・ミステリ小説『守護天使』シリーズ主人公のエヴァ・ワイリーの参戦もあってほぼ満員状態。試合開始前には速川書房協賛による『守護天使』シリーズ作者リサコ・ディーと主人公ワイリーのサイン会も行われた。
 まずは上々の滑り出しといえるが、これらのファンをこれからも引きつけつづける事が出来るかどうかが、Angel☆Forceの今後を決定する事になるだろう。

第一試合 20分一本勝負

○サラーラ・ダビ(12分24秒・体固め)藤崎未来●
※アラビアンプレス

 これがデビュー戦となる新人の藤崎は、リングコスチュームの上から白い麻のスーツを羽織り、細いタイにソフト帽といういでたちで『カウボーイ・ビバップ』のオープニングテーマにのって登場。リングの上で横顔を見せながら、ショルダーホルスターから抜き出したモーゼルミリタリーの銃口で帽子のつばを押し上げてみせるパフォーマンスを見せる。

「中国人の祖母から拳法を習った」と言う藤崎。その言葉通り序盤は打撃と蹴りでうまく自分の間合いを作り、距離を詰められた時は真っ向から組み合って投げの打ち合いを挑むなど、格上のダビに対して互角以上の戦いぶりを見せる。一度はバックドロップからのフォールでカウント2.5を奪うところまで行くが、さすがに地力の差は大きく、やや息の上がった十分過ぎにダビに一気に畳み掛けられ、フランケンシュタイナーから最後はアラビアンプレスを浴びせられてジ・エンド。

試合後のインタビュー:

記者「残念ながら白星デビューは果たせませんでしたね。なかなかいいところまでいったと思うんですが」
藤崎「……そんな昔のことは忘れたわ」  
記者「はぁ?! ……では今後の試合についての抱負など」
藤崎「そんな先の事はわからない」 
記者「(……言っちまったよ)自分で言ってて恥ずかしくありませんか?」
藤崎「なんで?(←大真面目)」


第二試合 30分一本勝負

●ソニア稲垣(15分47秒・SOS)ランガ綾木○

 Angel☆Force移籍後第一戦となる稲垣の相手は1999年度新人王の綾木。似たようなファイトスタイルの若手実力派同士の対決とあって、好試合が期待されていたが……。

 試合は、リング中央でがっちり組み合っての首相撲から投げの打ち合い、グラウンドでの攻防と続く静かで激しい展開。ややグラウンドテクニックに優れる稲垣が10分過ぎから試合の主導権を握り、少しずつ確実に綾木を追いつめていったが、ここで綾木の猪木式のナックルアローが稲垣の顔面に炸裂。これで強引に流れを引き戻した綾木は続けて延髄斬りを浴びせ、最後はSOS(前方回転式グラウンド卍)でギブアップを奪った。

 試合後綾木は、いつもの無表情のままで「練習通りの試合ができました」とだけコメント。一方の稲垣は、最初は比較的落ち着いていたものの綾木のコメントを伝え聞いて激怒(……無理もない)。今後に遺恨を残す結果となったか?


第三試合 30分一本勝負

○ザ・ランバー (17分08秒・片エビ固め)愛沢美奈子●
 ウィン・ミラー              ターニャ・ミハイロフ
※ノーザンライトボム

 ウェイトで劣るAngel☆Force組は、ミラーに目標を絞って短期決戦を挑む構え。序盤は思惑通り愛沢が空中殺法で欧州チームを翻弄し優勢に試合を進めるが、15分過ぎ、やや動きの鈍った愛沢がランバーに捕まり、垂直落下式ブレンバスター連発からノーザンライトボムでピンフォール。ミラーがターニャのカットを落ち着いて阻止し、スリーカウントを奪った。


セミファイナル 第四試合 60分一本勝負

 テンペストMADOKA(23分36秒・むとめスリーパー)レディ・コーディ●
○武藤めぐみ                       ステラ・ウィリアム

 元IWWF世界ヘビー級&タッグ二冠王者、武藤めぐみ。かつて、まさに自らの時代を築こうとしていた彼女を襲った事故は、彼女のみならず日本女子プロマット界すべてに黄昏と昏迷をもたらす『神々の角笛(ギャラルホルン)』となった。その後、長き沈黙を破って去年ついにマットに復帰した彼女は、しかし現在に至るまで、自らの闘いの場をメジャーマットに求めたことはない。それは自らを見つめ直すためだったのか、それとも……。
 KAGEKIに替わる新たな戦場にAngel☆Forceを選んだ彼女の最初の相手は、アメリカマット、いや女子プロ界屈指の好タッグとして知られるレディ・コーディ/ステラ・ウィリアム組。かつて盟友結城千種とともに幾度も激闘を繰り広げた相手でもある。A☆Fの現在の事実上のエースMADOKAとともに彼女らを迎え撃つこの闘いは、彼女の今後をはかる試金石となるのだろうか。

 試合は20分過ぎ、うまくMADOKA・武藤組を分断し、MADOKAがステラとの場外乱闘に巻き込まれたチャンスにコーディがスパート。ラリアートで武藤をなぎ倒し、コーディボムでのフィニッシュを狙う。だが武藤はこれをフランケンシュタイナーで切り返すと延髄斬りを連発、最後はリング中央でむとめスリーパーに締め上げ、ギブアップを奪った。

 試合後コーディは「弱くなったね、ムトウは。技に迷いがあるからかつての恐ろしいほどの切れ味や怖さがほとんど影を潜めちまってる。今日みたいな勝ち方しか出来ないのが何よりの証拠だ」と負けたとは思えないコメント。これに対する武藤のコメントは取れなかった……。


ダブルメインイベント1 第五試合 30分一本勝負

●エヴァ・ワイリー(17分54秒・反則負け)梓実さくら○

『駆け出し女探偵』シリーズなどで知られる英国のミステリ作家リサコ・ディーによる『守護天使シリーズ』の主人公として、今回の初来日以前から(一部で)有名なエヴァ・ワイリーは、黒一色のリングコスチュームに身を包んだ巨漢のヒールレスラー。小説中で描写される『ロンドンの女暗殺者』『バケット・ナット』そのままの姿に観客席から(女性ミステリファンのものと思われる)歓声が上がる。これを迎撃するのはなんと、現在日本女子プロマット最小・最軽量の選手として知られる梓実さくら。身長差で50cm以上、体重で3倍近い差があると思われるこの組み合わせ、果たしてまともな試合になるのか?!

 試合は序盤、リング中央で悠然と構えるワイリーに対して梓実がロープワークからドロップキック、ローリングソバットを浴びせるが、ワイリーは避けもせずにこれを受けてみせる。これに対して梓実はフライングニールキックを敢行。さすがに大きくよろめいたところで無理矢理頭を抱え込んでのDDT!! だがこれを受けたワイリーはそのまま梓実を捕まえ、高々とリフトアップしたまま悠然とリングを一周し、そのままマットに投げ落とす。その後もリフトしての投げ落としとたまのラリアート以外に大した技も出さず、ただ体重を乗せるだけで体力を奪いつつ梓実を確実に追いつめていったワイリーだが、10分過ぎに勝負に出、全体重を浴びせて潰しにかかる。ここで下敷きになった梓実がそのまま強引にワイリーを持ち上げ、120Kgを頭上高く(といってもたかが知れているが)リフト、そしてなんとそのままトップロープ越しにワイリーを場外に投げ捨て、さらにコーナーポストからミサイルキック!! これに怒ったワイリーがパイプ椅子を持ち出して梓実をめった打ち。リングに戻っても椅子を離さず、止めに入ったレフリーをもなぎ倒したため、ワイリーに反則負けが宣告された。

 試合後、ワイリーは通訳を通じて「本当の勝者が誰かは一目瞭然だね」と余裕のコメント。一方梓実は「今日の試合でエヴァさんの重さもつかめました。今度やる時はきっちりスプラッシュ・チェリーボムでKOしちゃうんだもん」とこちらも強気の限り。


ダブルメインイベント2 第六試合 時間無制限一本勝負
ペアヒロイン究極決戦? 楽勝!ハイパードールVSダーティペア
エニーウェア・エニーフォール・タッグデスマッチ

 ジェニー野上(37分12秒・片エビ固め)中西葵●
○飯塚リカ                永田桃子
※ツインナパームショット(クロスアックスボンバー)

 淀女時代からタッグの好敵手として知られるこの2チーム。まずJ.B.ドールズがいつものコスチュームとテーマ曲でリングイン。一方ラブリーエンジェルスこと中西・永田組は銀色のへそ出し短上着に同色のホットパンツといういでたちで、中原めいこの『ロ・ロ・ロ・ロシアンルーレット』をテーマ曲に入場。

 互いに手の内を知りつくしているため、序盤は小技の応酬による静かな立ち上がりとなるが、まず3分過ぎに飯塚が永田をリング外に叩き出して乱闘を開始、中西と野上も当然これに加わりリングサイドで四者の乱戦が繰りひろげられる。

 ここで飯塚がリングサイドで試合を観戦していた枕崎秀樹記者と山上あかねのツーショットを発見。気を取られたところにすかさず中西と永田が襲いかかり、飯塚を捕まえて思い切りこの二人に叩きつける。飯塚はとっさに体をひねり枕崎記者だけはかわしたものの、山上あかねは飯塚の下敷きに。
「あ、ごめーん」
「気をつけろよ!! あかねちゃんは今日は選手じゃなくて観客なんだぞ!!」
 この科白にむかっ腹を立てた飯塚が枕崎の椅子を蹴り倒し
「冷血動物!! インディレスラー!!」
「なんだとお!!」
 と、枕崎と罵り合いを開始。更に永田の
「ホーホホホホホッッ!! フラれ女はミジメよねぇ」
 という挑発が入る。
 これに逆上した飯塚が永田に対してショートレンジのナパームショットを乱れ撃ち、永田を会場外へ追い立てる。中西はこれを見て、野上と格闘中にもかかわらず
「さすがの桃子もちょっと泣きが入りかけてるかな」
 と、のんきなコメント。それに対して野上が
「はん、泣いて済むならJBドールズはいらないやね」
 と突っ込む。

 四人はそのまま会場を飛び出し、JRのガード下をくぐったところで東に向きを変え、阪急百貨店をパスして梅田ジョイポリスに乱入、改札口を強行突破して観覧車に向かう。まず中西が野上を引きずりこんでドアを閉めてしまうと、二台あとのゴンドラに今度は飯塚と永田がつかみ合いながら乗り込み、そのまま四人とも上に向かってしまった。

 ……そして、取り残され固唾を飲んで待ち受ける観客達の前に、観覧車を一周したゴンドラが降りてくる。まず一台目のゴンドラからKOした野上の髪をつかんで引きずりながら中西が姿を現わすと同時に、歓声と悲鳴とが巻き起こる。そして二台目のゴンドラから姿を現したのは……永田!! ダーティペア、いやラブリーエンジェルスの勝利かと思われた瞬間、ぐらりとよろめいた永田が中西に向けて倒れ掛かり、その背後から飯塚が中西を急襲。迎え撃とうとした中西だったが、気絶したふりをしていた野上がタイミングよく背後から襲いかかり、驚いて動きの止まった中西に前後からクロスアックスボンバーを叩き込んで勝負を決めた。

 試合後、飯塚と野上は「空の上もわたしらの戦場だ!!」と中西のお株を奪うアピール。これに対して中西と永田が「今度やる時はあたしらが『楽勝!!』してやるぜ!!」とやり返し、ファンの喝采を浴びていた。