今日は、“イカ”の加工品、「徳利イカ」をめぐる話をしましょう。
イカで作った徳利(とっくり)と、おちょこの「徳利イカ」をご存知ですか。酒器として利用したあとは、容器を食べられるものです。
以前、函館市の市場と、熊本の道の駅で買ったことがあります。
今回は、ブログに使う文字の色を、イカ墨から作られたこともある絵具の「セピア」風にしました。
とっくり眺めてください。
高さ14.5㎝
京都丹後地方の製造
(宮津市漁師・鞍岡商店)
山廃仕込純米酒なら
風味が最高。
シーフードのイカと相性
は最高。珍味です。
粉引きの酒器も
いいけれど、
イカ表面の粉吹き
(アミノ酸)がたまりません。
徳利(とっくり・とくり)の語源は、一説によると朝鮮語の容器、「トックル」からと聞きました。
わたしが古美術店店主なら、店内のショーケース中央にイカ徳利を一個だけ置き、「李朝」として飾るでしょう。落語『猫の皿』?です。
徳利イカ(燗瓶)が作られた
長崎県五島福江島 戸倉
昭和46年
(写真集 『 甦る五島の風土』
的野圭志 平成7年発行 ※1)
秋から冬にかけての
イカの天日干し
長崎五島戸倉 昭和49年
(写真集 『続 甦る五島の風土』
的野圭志 平成15年発行 ※1)
「年末から春先にかけて行われ、胴長25㎝程のスルメイカの手足や内臓などを取り除いた後、下部を輪ゴムで縛る。 その中に何度も空気を入れて膨らませ形を整え、 4~5日間乾燥。」
京都丹後の製造法だそうです。
(現場の高齢化や後継者の問題はどうなっているのかな。)
人肌の燗酒を味わう季節。
徳利イカは、適度に温めた日本酒を注いで、溶けだす香ばしいイカの香りと旨みを味わいます。
徳利容器の用が済んだら、菜箸などを入れ、2~3回程、回転しながら遠火で炙ります。
最後は、イカを裂いて、酒の肴(さかな) になりますよ。
イカの刺身を、みりんと酒に
浸したスルメの炙りは最高。
そして
マヨネーズと七味唐辛子、
醤油は、お好みで・・・・・
イカといえば、八代亜紀が歌う国民的昭和歌謡 「舟歌」は、いかが ・・・。
いかん、いかん。駄洒落連発。
阿久悠作詞、浜圭介作曲です。
♪
お酒はぬるめの
燗がいい
肴はあぶった
イカでいい
女は無口な
ひとがいい
灯りはぼんやり
灯(とも)りゃいい
ぬる燗は、持って熱くない程度、40度位。人肌燗は、触ると暖かい35度くらいで味にふくらみが。 火照った女性をイメージして下さい。
八代亜紀の「舟唄」を初めて
ラジオで聴いた時の感動。
すぐレコードを
買いに走りました。
テイチクレコードRS-165
シングル盤A面 600円
「舟唄」 が流行りだした頃、
作った替え歌です。
♪
頭はゆるめの
ネジでいい
頭は平均
いかでいい
あなたは
全く人がいい
僕はぼんやり
してりゃいい~
・・・・・
名曲のイメージが壊れると
お𠮟りを受けそう。
・・・・・
♪
沖の鷗に
深酒させてヨ
いとし
あの娘とヨ
朝寝する
ダンチョネ
・・・・・
いいねえ
八代亜紀が歌う「舟唄」のジャズやロックのバージョンも、おすすめです。
ですが、演歌や八代亜紀は苦手と思う人もいるでしょう。そんな人へ、イカが好きなら足フェチに違いないというわけで、このジャケット写真のアルバムを推薦いたします。
わたしが選ぶジャズをBGMに、徳利イカを傾ける、ひとときを味わってほしいですね。
・・・・・・
クール・ストラッティン
ソニー・クラーク
ブルーノート
(キング・BST-81588)
・・・・・
徳利イカを肴にした
話に付き合って下さり
ありがとうございました。
・・・・・
おまけです。
・・・・・
舟だまり
波をおこすは
どこの舟
下絵師彫辰
・・・・・
・・・・・
きょうはこの辺で。
※1 写真集 『甦る五島の風土』、 『続 甦る五島の風土』 の著者で撮影の的野圭志様は、友人K・山崎さんのおじ様です。白黒写真の掲載許可をいただきました。
映画「駅 STATION」のなかで「舟歌」が流れますが、主演の高倉健さんがカッコよすぎてパス。ロケ先の風景は美しかったです。