箏(生田流)・三絃・邦楽作曲の唯是震一 (ゆいぜ しんいち)氏が新年5日ご逝去。 91歳。

画学生時代、一時尺八部に在籍していたことや、家族が代々宮内庁楽部奏者の同級生がいたので、古典邦楽や現代邦楽の演奏会に行く機会がありました。
 
その頃は、箏の唯是震一、沢井忠夫・一恵、尺八の青木鈴慕、 山本邦山、山口五郎各氏の演奏が気に入っていました。 現在も当時FMで録音したテープを聴いています。
 
唯是震一氏の演奏を聴くきっかけは、尺八部部員のひとりが山本邦山先生の御自宅に案内してくれた時、唯是氏の十二音技法による尺八無伴奏曲の話がでたからです。
 
昭和50年代前半、唯是氏と山本邦山先生が出演される作品発表会によく行きました。
箏の演奏会は、着物の様式美に感動しても、たいてい舟を漕ぐことが多いのですが、両者の演奏は、眠ることが許されない雰囲気がありました。
 
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第18回唯是震一作品発表会プログラム。後ろはレコードの帯。
1977(昭和52)年10月26日朝日生命ホール。 入場料1500円。
 
第18回唯是震一作品発表会プログラム作品案内から
 
民話のふるさととして知られる岩手県遠野は又私の祖先のふるさとでもあります。(略)
声と三絃のための遠野
Ⅱオットン

遠野物語の一部に夫鳥がある。 人目を避ける若い恋人達が山で迷い恋人を失った娘が探し求めるうちに鳥になった悲話である。 その鳴声のオットーンと長く終りがかすれる声が今も春の夜には聞えるという。 
                
 
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唯是震一の音楽 第二巻 
唯是震一(箏・三絃)中島靖子(箏) 山本邦山(尺八)他  
CBSソニーSOJL-3-4 (アナログ・LP)
棟方志功の版画が素晴らしいレコードジャケット。
谷崎潤一郎「鍵」 昭和32年版 の装丁・挿絵と並ぶような美術品です。
 
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唯是震一 協奏曲を弾く 
唯是震一(箏・三絃) 山本邦山(尺八) 佐藤功太郎指揮 東京交響楽団 
1986年録音 ビクターSJK-9581(アナログ・LP)
 
今、唯是氏のレコードを聴くと、遠野の奥山に入りこんだ先生が神隠しにあったように思います。
しばらくしたら、未発表の作品を持って姿を現してほしい、そう願います。

 
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