芸術大学・美術大学の進学を目指す受験生にとって、センター試験も終わり、
いよいよ実技試験が近づいてきました。
 
今日も、午後から浪人生や高校3年生がやって来て、デッサンをアドバイスしたところです。 難関校を目指す彼らの不安が痛いほど伝わり、また、そのひたむきな気持ちに触れて、わたしも随分浄化されました。
 
先日、書庫を整理していたら、画集に挟んでいた「1975年・御茶の水美術学院案内」が出てきました。 自分が在籍していた次の年度の入学案内です。
その中、受験生を対象とした基礎科日本画コースのページに、わたしの姿が写った写真が掲載されていました。
 
藝大に入学して、御茶美の実技講師で恩師の緒方洪章先生から、「木ノ下君が載ってるよ」 と、いただいたパンフレットでした。
すっかり所在を忘れていました。 37年ぶりの再会です。
 
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御茶の水美術学院 1975年学院案内
表紙デザイン: アバタのヴィーナス (古代ギリシャ・紀元前4世紀頃)
 
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1975年お茶の水美術学院案内掲載写真

 

写真奥中央、前を向いているのがわたし。着ている冬服からすると3学期ですか。
日本画コース午前部(8:30~11:30) の静物着彩実習風景です。
 
この時のモチーフは、カラスのはく製とレモン、ストライプの布。わたしの前に鎮座していたカラスのはく製が、不自然というかポーズが少し擬人化?されていたので、描きにくかったことを覚えています。
 
手にしている水彩筆は、お茶の水駅横の画材店・レモン画翠で購入したセーブル筆。 当時、清水の舞台から飛び降りる思いで買った高額品でしたが、穂先が短くなり、柄の塗装が剥がれたとはいえ、今も現役で使っています。 同時に使っていたホーローパレットとともに、おそらく一生ものでしょう。 これからも大切に使いたいと思います。
 
ひさしぶりに見たこの写真から、当時の教室の空気が蘇りました。
午前部の実技授業が終わると、御茶の水界隈や神保町古書街を寄り道して、秋 以降下宿していた台東区谷中へと帰る生活でした。
 
画集やレコード、展覧会に要するお金を浮かすために、自炊していました。
下宿の2軒先が、下町情緒溢れる谷中銀座の入口(日暮里駅側の階段)でしたから、商店街の雑踏の音や、コロッケ、ナポリタンなどの材料調達は気分転換にとてもよかったと思っています。
 
 
今日訪ねてきた受験生の、重い画材道具を背負う後ろ姿を見送りながら、ひょろっとしていた受験生の自分を重ね合わせてしまいました。