管理会社による「理事会支配」を容易にする輪番制の罠

7割のマンションでは理事会の役員選出方式は輪番制が採用されています。

表向きには公平性の担保や悪徳理事の続投を防ぎやすくすることです。

しかし、輪番制は理事会の知見の蓄積や、専門性を有していてやる気や問題意識のある人の排除にも繋がる

 

最悪なのは、無関心でやる気のない人にも無理強いしてしまう制度ともいえ、

これがチェックの甘い放漫経営の体制になりやすい。

輪番制で選ばれたマンション管理に無関心な『イエスマン理事』ばかりという事態になりかねない

やる気のある理事が数人いても、理事会に関心がなく早く会議を終わらせたいイエスマン理事に多数決で負けて

管理会社の提案通りに事が運んでしまう。

 

結果、管理会社に言われるがまま、不必要で割高な工事をしてしまい、

管理組合にとっては莫大な経済的損失となります。そして積立金の値上げにも繋がってしまうのです。

工事がやたら高額であることに気付いて調べ出した時には任期切れ、というわけです

 

キックバックの実態

理事による不正は他の理事や管理会社を巻き込む必要もあって、不正行為自体は実はそう簡単でもない。
メンバーの固定化を防ぐために半数は輪番制にして、
希望するオブザーバーの理事会参加を認めるなど、不正が働きにくくする方法はある。
そもそも立候補制でも真面目な理事の方が大多数だろう。
議決行使権がないだけで理事会は管理組合員であれば理事でなくても出席できます

管理会社が住民同士の情報共有を嫌うワケ

その意味で、「輪番制」は管理会社の営業活動にとって都合がよく
それはひとえに理事会のコントロールのしやすさからくる。
 
国交省の調べでは、直近で既存マンションの約70%が、分譲時の管理会社との契約を更新し続けています。
不満の種が醸成されないように、管理会社の統制が効いている結果という見方もできます。
不満やトラブルがあっても表面化しないように統制されています。
→管理会社に不都合な事実は議事録に記載されないので住民は知ることすらできません。
 
他の管理会社への変更など、比較検討する機会を設けさせず、
理事会では管理会社の提案ばかりを議題とし、
管理会社自身の評価をする機会を作られないようにしているのです
 

管理会社の方針ではなく、

別角度からの意見や情報、合理的な知見を共有する機会が全く用意されていないことは、やはり問題。

理事会では、管理会社の社員に退席してもらって、理事だけで議論する時間を設けるように推奨される

そこでフロント社員の前では言いにくい管理会社自体の評価や、

出てきた見積もり価格の妥当性などを検証する機会を作ることが必要なのです

 

工事営業を独占するための手法

そもそも“素人”の集まりである管理組合や理事会は、管理会社の営業ベースの提案に支配されやすい偏った環境なのだが、当事者たちは、その環境に気付いていないものだ。
 
知識量で圧倒的優位に立つ管理会社の社員が理事会で独占的に営業活動をできる状態もおかしい。
提案業務と発注業務を同じ会社が務めること自体が、あっ旋利得的な行為なのです。
この状態を避けるために発注業務は、面倒でも管理組合独自で行なうほうがいいでしょう
 
管理会社の提案ありきの理事会運営を避けるためにも、管理会社が介在しない形で、
理事会や組合員同士がコミュニケーションできる機会と情報共有ルートを確保しておくことが重要です
 
そうしないと唯一の情報媒体である議事録だけを情報源にしていると
管理会社にとって都合のいい情報ばかりを鵜呑みすることになってしまうからです。
 
そのため理事会をしっかり機能させるためには、何より情報公開や透明性の確保が大切です。
管理会社の影響を極力排除して、特に理事同士は直接連絡が取れるようにし、
多くの組合員が知見を高められるようなコミュニケーションを取れる環境を構築することが極めて重要なのです。
そうなれば、理屈に合わない、割高な管理会社の提案も、合理的に断ることができるようになるでしょう
 
何度も言うように
住人とは利益相反の関係にある管理会社と
住人である以上は根底の利益は共通である管理組合・理事会では必要な情報が違うのです。
 

管理会社の影響力を排除するのはなんといってもITの活用が有効

 

管理会社社員の入らないLINEグループやネット掲示板を作って理事会や意見のある有志の組合員とある程度の知見を共有できれば、不必要な工事や割高な事業の提案は防げます

 

または理事会宛てのフリーメールアドレスを作って、

そのアドレスは毎月の議事録や掲示板に掲示し、意見箱として活用できるようにする。

その管理は面倒でも、理事や管理組合など『住民側』の誰かが『直接』やることです

特定の人物が情報を独占するのは好ましくないので、転送設定などを利用し、できれば複数の人が共有できる状態が望ましいでしょう。

 

また、理事会の決め事やルールなどもクラウド上にアップしておき、

QRコードなどで住民が閲覧できるようにしておけば、理事会メンバーが変わってもある程度、運営の継続性を担保できます。

こうすることで理事会に知識と経験が蓄積されていき、いつまで経っても知識ゼロの輪番制理事から脱却できるようになります。

管理会社は住人からお金をもらうことが仕事なのです。

自分達の資産は自分達で守るしかありません。

 

管理会社を「経由」させない情報共有の重要性

とにかく、理事役員と組合員が管理会社を介さず、『直接』意見や情報を共有できる仕組みを作っておくことが重要だ。
そうしないと、たとえ良い意見が上がっても管理会社が取り次がなければ、他の住人は知ることができません

 

ITなどを使った管理組合主体での直接の情報交換の仕組みは、管理会社にとっては工事などの営業活動に横槍が入る可能性があって不都合なので本当に嫌がります。

個人情報や管理体制の問題を持ち出して必死に抵抗するでしょうが、情報共有の重要性を認識していれば、どちらを優先すべきか明らかです。

 

ネットを通じて住民からより多くの情報や意見を集めることで、

不要な工事はしなくていいというもう片方の情報も理事会に伝わりやすくなる

それが無駄遣いを避ける手段にもなるのだ。

 

輪番制で選ばれたマンション管理に無関心な『イエスマン理事』が多いと

やる気のある理事の意見も多数決で潰されてしまう。

イエスマン理事は管理会社に言われるがまま、不必要で割高な工事をしてしまい、
管理組合にとっては莫大な経済的損失を与え、それが積立金の値上げにも繋がってしまう。

 

ITも利用し管理会社を介入させない管理組合員だけの情報共有の場を作り

理事会や意見のある有志の組合員とある程度の知見を共有して、

不必要な工事や割高な事業の提案は防げるようにすることが大切

またそこで輪番で理事になっても困らないよう理事会の知識と経験を共有できるようにしておく

そうすることで議事録だけに頼らない透明性のある管理が確保できます。

 

理屈に合わない、割高な管理会社の提案も、合理的に断ることができる場を作りましょう。