近年、多くのマンションにおいて、物価高などによる工事費の高騰から、

修繕積立金が不足する事態が、大きな問題となっている

特に、大規模修繕において管理会社からは、想定を大きく超えた金額が提示されるケースも増えているという。

しかし、そこには大きな「ウソ」が潜む

 

■実際の工事費はそこまで上がっていない

工事費は確かに上がっています。
しかし、問題なのは3しか上がっていないのに、7や10も上がったかのように、
割高な工事費を管理会社や設計コンサルタントが正当化しやすくもなっている点です。
 
見積もりの説明で、想定額より3割や5割も工事費が上がっているようなら談合を疑い、
設計コンサルタント会社が推薦する業者とは別の業者を独自に探してやり直すべきです
 

そもそも、修繕工事はそこまで円安による物価高の影響は受けません。

新築マンションなどの建築工事は大量の輸入資材を使うので確かに工事費は高くはなっていますが、

修繕は実質的に人件費の割合が多くを占めていて、修繕系の職人さんの賃金はそこまで上がっていない。

工事費に占める割合が多い仮設工事は既存の資材を使い回し、

修繕で使う塗料や補修に使うシーリングなどの材料費はそこまで高額ではなく、総工費に占める割合はごくわずかです。

つまり修繕工事のコスト自体はそれほど上がっていない

 

■公共事業よりヤバい大規模修繕の受注現場

中規模以上のマンションでは億単位のお金が動くのに、その運営を任されるのは、
たまたま輪番で理事のイスが回ってきたズブの素人です。
当然、工事の必要性や相場感、見積もりの取り方を知っているわけがないので、
結局は管理会社の言いなりで『お任せ』となる。
その方が理事会や修繕委員会も楽ですからね。
 
大規模修繕工事の受注の現場は、
業者間で談合やキックバックが発生していても、99%は露見することがない“無法地帯”なのです。
そんな環境で、彼らに自社利益を犠牲にして顧客本位を期待できるとは思えません
 

■不透明な工事費

管理会社という営利企業がサービスを提供する以上、対価が伴うのは当然だ。
問題は、対価の取り方が不透明なことだ。
そして不透明ということは、イコール、高額になりやすいことを意味する。
 
管理組合の工事などの発注も、施工を行わない管理会社は、実質的に工事会社を仲介しているにも関わらず、
手数料は明示されておらず、管理会社の利益を含んだ費用を『工事費』として説明している。
管理会社の手数料の割合が高すぎることが分かれば、管理組合が自ら見積もりを取るという発想も出てくるが、
その価格が純粋な価格と誤解されていれば、割高でも『こんなものか』となってしまい、
理事会が独自に見積もりを取るという行動が生まれにくい。
管理組合にとって、公正な取引の機会を著しく阻害する要因と言えます
 

■見積もり金額はなぜか修繕積立金の残額ギリギリ

このような環境で修繕積立金の値上げを誘導され、貯まった修繕積立金の残高は、管理会社や設計コンサルなどは把握できるので、積立金残高とほとんど変わらない見積もり金額を提示される
そして、『なんとかここまで抑えられました』と説明し、受注に持っていくのがお決まりのパターンだという。
しかも、たとえ、割高な工事であっても管理組合はそれが正解だと思っているので水増しされた価格の“被害”が表に出ることもありません。
 
また、日常の管理においても、小さな工事や設備更新、委託業務なども同様に、
管理組合から見えにくい所でも管理会社は利益を得ているとされる。
 

彼らが利益を上げようとするほど、管理組合は負担を強いられる利益相反の関係にあり、その部分を見直さないで、高額な工事費や積立金の値上げの是非を語っても、全くナンセンスだといっていい。

工事の素人である管理組合が億単位の大規模修繕を事業として進める以上は、そこに潜む「落とし穴」や失敗のパターンを知識として知っておく必要がある

そうしないとあっという間に修繕積立金は枯渇することになる。

 

実は修繕工事のコスト自体はそれほど上がっていない

億単位のお金が動くのに、その運営を任されるのは輪番で理事のイスが回ってきたズブの素人。
管理会社の言いなりで『お任せ』とすると
キックバックを上乗せした高額の工事費を請求されることとなり
あっという間に修繕積立金は枯渇してしまい
管理費・修繕積立金の臨時徴収と増額を余儀なくされてしまうことになる。
管理会社のキックバック分を払うために臨時徴収されてしまう可能性があるということだ。

 

 

 

(週間ゲンダイ「マンションクライシス」元記事)マンション大規模修繕 巨額“水増し”工事費の罠…!修繕積立金が足りなくなる「本当の原因」​