便座の蓋、かつては補強があった | PBX5 Bldg.

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トイレ。
昔は怖い、汚いなど良いイメージはなく、TOTOが初代洗浄便座「ウォシュレット」のテレビコマーシャルを初放映したところ、苦情の電話が鳴り響いたと、NHK「プロジェクトX」で語られていました。
今はタンクレストイレなど新技術、建築もドライ工法のインテリアなど、快適空間になりました。

私が子供の頃は、トイレは和式の便器がほとんどで、洋式(当時は腰掛とも言った)便器はデパートやホテルなどの施設で見る程度でした。


これは、宿泊したホテルにて撮影しましたTOTOのC21という腰掛便器です。建物は昭和37年に竣工したのですが、東洋陶器(TOTOの旧社名)は昭和37年に、便器に焼印されるロゴマークを、それまでの"TOYO TOKI CO.,LTD"と記された大鷲から、"Toyotoki"と記された筆記体に商標を変更しており、このホテルでは9割が新しい筆記体マークで、残り1割が鷲マークのよう(当時の施設課談)でした。私の泊まりましたお部屋は、古い方の大鷲バージョンでした。
その後、乃木坂にあったTOTOの資料館で調べてみましたら、本器は「腰掛式サイホンデコ形大便器」という名前でした。
C21のサイホン便器は改良を重ね近年でも新製されていますが、デザインは全く異なりますので、本器は黎明期の製品だと思われます。

そして、特徴的なのが「便座」です。CS252「合成樹脂便座」というもので、プラスチック製の便座です。(当時は木製もあったようです)
この当時ならではの特徴は「蓋」です。写真のように、放射状の補強が入っています。想像ですが、蓋に座ってしまったり、電球の交換で踏み台代わりに乗ってしまっても、破損しづらいように配慮されたのか、当時の製造技術では普通の使用でも割れる可能性があったか、そのような理由が考えられます。

私の自宅で初めての腰掛便器は昭和43年竣工のマンションでしたが、蓋にはこのような補強はありませんでした。当時、蓋に乗って電球を替えてしまったことがことがありましたが、しなることも、割れることもありませんでした。

ここ10年以上、大鷲バージョンの衛生陶器も、補強のはいった便座(蓋)も見ていません。建築設備で、真っ先にリニューアルされてしまうのが水回りです。もし、どこか(TOTOミュージアムではなく現役として)でこの器具が残っていましたら、大変希少で貴重と思います。

※もし、ネットオークションなどでこの便座が出品されていても、便器に付ける金具が当時ものでないと、便座が前にはみ出してしまいますので注意が必要です。当時の金具は便座の軸と取り付け穴が直線上にあったのに対し、現在の金具は軸が前方にオフセットしています。写真のホテルでも、タンクをハイタンクからロータンクへ変更の際、便座が立たなくなりやむなくオフセット金具としたため、このように前方にはみ出てしまっています。


後付けのロータンクと干渉するため、便座取り付け金具
をオフセットされた現行品(現在はこれも廃番)に交換した
ため、便座が前方にはみ出し正規の位置ではない。