残り続ける明治生命館スチールサッシ | PBX5 Bldg.

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新春恒例の箱根駅伝。最終10区で選手たちが日比谷通りから京橋方向へ曲がるところに、明治生命館(明治安田生命)が建っています。昭和期の建築で初めて、重要文化財に指定されました。

この明治生命館は、岡田信一郎氏の様式建築の美しさが保存されているのですが、私が嬉しいのは窓枠や設備、小さな金物まで、当時のまま良好に保存されていることです。
PBX5 Bldg.-明治生命窓1
コリント式列柱と調和している、明治生命館の上げ下

げスチールサッシです。


コリント式列柱の間に美しく並んでいる窓には、上げ下げ式のスチールサッシが使われています。この上げ下げ窓は、おもりやバランサー機構により、任意の位置で止められるので使い勝手が良く換気もできるので、最近ではアルミサッシのものを一戸建て住宅で多く見かけますが、かつて主流だったビルではその姿を消しつつあります。


改修や保存、復元された近代建築でも、上げ下げなどのスチールサッシは、錆びるなどして撤去されてしまい、アルミサッシのフィックス(嵌め殺し)や引き違いに変更されることが多いです。

建築家は、窓や室内小物なども含めて、設計されていると思います。もし、明治生命館の窓がアルミサッシの1枚ガラスに改修されていたら、イメージが違って見えてしまうと思うのは、私だけでしょうか?


幸い明治生命館は、これまでの良好なメンテナンスにより、スチールサッシの上げ下げ窓が良好な状態で保存されています。
PBX5 Bldg.-明治生命窓2
上げ下げの二重窓です。岡田氏が、来る自動車時代

や空調効率を予測し、静かで快適な執務環境を願っ

た先進性に感動しました。


スチールサッシは、錆や気密性といった課題がありますが、工夫次第では克服でき、さらに火災に強いといった特長もあります。明治生命館は、一般公開されています。この先人の技術を今に伝える、貴重な窓が、これからもメンテナンスされ続け、残り続け、多くの皆様の目に触れることを願っています。