秋葉原にあったカクタ(角田無線) | PBX5 Bldg.

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東京・秋葉原。通称アキバとも呼ばれ、電気の街からさまざまなジャンルの街へと変貌し続けています。


PBX5 Bldg.-秋葉原1999

1999年頃の秋葉原です。今はなきナカウラ、ヤマギワ

や、日本通運のビルがありました。


私が初めて秋葉原へ行ったのは、小学生の時でした。工作好きな友達と意気投合し、子供2人で電車を乗り継ぎながら、ドキドキしながら向かったのです。テレビCMで名前は知っていた大型家電の総合店のほか、地元では、隣町のラジオ屋さんでも扱っていないような電気部品のお店が軒を連ね、子供心に大変驚き、そしてこの街への興味が膨らみ始めました。

そして数回、友達と行きました。学校では、子供だけでの遠出は禁じられていましたので、教室では「アーラー」という合い言葉で話し合っていました。その後、現在に至るまで秋葉原に通い続けました。今思えば、人生の大半をアキバと過ごしていました。


その秋葉原で、思い出深いお店がありました。駅から少し離れたところにあった「カクタ」です。現在「角田無線電機」という卸商社がありますが、かつてはグループ会社に小売り部門があり、中央通りに店舗がありました。


PBX5 Bldg.-カクタ1
カクタの建物。最上階の丸く空いた部分は、バルコニー

のようでモダンなデザインです。電気店全盛期の頃は、

ここで町並みを眺めながらお食事ができたのでしょうか?

現在は屋上看板が撤去され、カクタ跡にソフマップ、

上層階は防塵マスクメーカーの重松製作所が入っています


1978年頃は、1階が家電、2階は照明、3階にはパーツショップ(電気部品)がありました。また、当時流行だったBCL受信機やアマチュア無線機器を扱う「カクタX1(エックスワン)」と称する別館が新築工事中でした。

当時はラジオの部品など買っていましたが、ある日店長さんかフロア長さんに声をかけられ、MZ80Kという組み立てパソコン(現在の自作PCとは異なり、各部品をハンダ付けするもので、マイコンと呼ばれていました)を勧められ、「君だったらこれでプログラマーになって会社を作れるかも?」とのことでした。しかし、ラジオの部品をやっと買える当時の小遣いでは何年貯めても無理で、帰宅後親に相談したら、BCLラジオを買った直後でもあり怒られる始末でした。

もし、当時お金があってこのMZ80Kを組み立てていたら、その後の人生が変わっていた?かも…と、その後このお店でパーツを買うたび、思いました。

そして1999年、久しぶりにカクタの前を通りがかったら、店舗内装は解体され、コンクリがむき出しになっていました。作業員に尋ねると「小売りから撤退し閉店した」とのことでした。


PBX5 Bldg.-カクタ2
1999年改装工事中の旧「カクタ」。独特な書体の店名

と、特徴だったプリズムのようなショーウインドーの痕

跡で、あのパソコンの記憶がよみがえりました。

現在はソフマップの看板になっています。


撤去された”Kakuta”の看板と、ガラスをギザギザに配した特徴的なショーウインドーの痕跡を見て、あの買えなかった思い出がよみがえりました。秋葉原では、シントクやヒロセムセンといった老舗家電店が閉店、パソコン街に変わりつつありましたがついに、カクタともお別れになりました。

その後ソフマップが入り、しばらくは「カクタソフマップ」としてカクタのロゴも併記されていましたが、現在ではカクタは屋上のネオン看板とともに消え去り、完全にソフマップ(リユース総合館)となっています。