こんにちは!
一般社団法人住宅建築コーディネーター協会のスタッフブログへお越しいただきありがとうございます
今回は「耐震性」をテーマに、住宅建築コーディネーターの藤原さんへインタビューを実施しました。
「耐震性の高い家」とは?
協会スタッフ
地震大国である日本において、住宅の「耐震」は必須項目です。
1981年に1建築基準法の耐震基準が改定されてから、日本の住宅は「大地震に耐えられること」を前提として作られています。
この耐震基準を満たしたうえで、その性能のレベルにはもちろん高低があり、耐震性のレベルを表すものを耐震等級と呼びます。
家を新築する方は「地震に強い家=耐震等級の高い家」を求めることが多いはずですが、如何でしょうか?
藤原さん
「多くのお客様」「多くの不動産業者」「多くの設計士」は、その認識をお持ちだと思います。
つまり、
『地震に強い家』=『耐震等級3』
を取得する事であると。
しかし、私が知る限りではありますが、
世の中に排出されている住宅の多くは『耐震等級3』を取得していても、現実にその性能に及んでいません。
協会スタッフ
どういう事でしょうか?
藤原さん
料理なら「レシピ」があって「料理人が調理する」。
プラモデルなら「説明書」があって「購入者が組み立てる」。
住宅は「設計図」があって「職人が建てる」のです。
では、
同じレシピ、同じ説明書、同じ設計図で同じクオリティの完成品となるか?と言えば、全く違いますよね。
「少し違う」ではなくて、「全く違う」のです。
耐震等級3というのは、レシピの話。作る人によって、完成品の味は全く違います。
少し難しい話になりますが、後ほど具体的な事例を紹介しますので、興味があればぜひ読んでみてください。
協会スタッフ
「誰が作るか」が重要なのですね。
藤原さん
事業者もお客様も「安さの追求」の傾向がある以上、
「正しく作られないことで性能が基準値に及ばない家」
は今後も排出されるでしょう。
そんな中、住宅建築コーディネーターは、
「工務店、設計をお客様にマッチングする役割」
を担っています。
住宅建築コーディネーターが頼られる存在になるためにも、
存在意義のある「知識」「経験」「理念」をもっともっと創り上げていきたいと思っています。
ちょっと専門的な事例紹介
藤原さん
2023年7月、私が知り合いの不動産業者に頼まれて、現場チェックをした木造3階建て、在来工法の家の建築現場。
ちょうど、「構造用合板」いわゆる耐力壁を施工された後でした。
耐力壁の材料は、「JIS規格取得の某パーティクルボード9mm」を使用していました。
①釘を150mmピッチで打つ事で設計図通りの壁倍率となる(壁倍率=設計計画の壁強度)
②正しく施工されることで初めてその性能となる
のですが、この現場は、
①釘のピッチが180mmの場所、200mm以上の場所、90mmの場所、とバラバラ
②室内側から見ると、空打ち(柱に釘が刺さっていない)が多い
③釘のほとんどが9mmの耐力壁に4.5mm以上めり込んでいる(3階建て外周全て)
さて、この問題点、どのくらい深刻なのでしょうか?
釘のピッチ@150mmで壁倍率2.5倍です。
釘のピッチ@ 75mmで壁倍率4.3倍です。
設計図は、2.5倍で計算されてますので、@150mmで施工しなければなりません。
ピッチを150mmにしないといけません。
200mmや180mmではダメです。
工務店は、「釘を増し打ちします」と言いました。
増し打ちしたら、2.5倍以上になりますよね。
耐力のバランスが崩れます。
それと、「めり込み」についてです。
メーカー担当者に確認したところ、
「釘のめり込み1mm~3mm」で耐力10%減少。
「釘のめり込み4mm」で耐力20%減少。
とのご回答が得られました。
では、4.5mm以上、つまり耐力壁9mmの半分以上めり込んでいる場合は?
返ってきた回答は、
「そのデータはございません」
「そこまでの施工不良は想定しておりません」
「やり直しレベルです」
とのことでした。
この現場を施工している工務店は、年間多くの新築を建てています。
結局この現場では、耐力壁が是正されないまま、完成引渡しがされていました。
釘のピッチは「現場あるある」で、今回のお話は、その一例にすぎません。
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