プログラムシフトとISOオートの関係
プログラムAEというのは銀塩時代から存在していて新しい技術でもなんでも無い。
デジタル化しても、15年以上は経過しその歴史も長いと思う。
そんな中でデジタルになって一番違っているのが絵を受け止める撮像デバイスの感度の事。ISOの話だ。
銀塩時代には、感度を変えるにはフイルムを入れ替えるか複数のボディーを用意してボディーごと入れ替えるかしないと感度を変える事は出来なかった。変えられる範囲もASA50-400(標準的な感度は100)。感度を上げたい時は増感現像という現像時の別工程で行うしかなく、増感によってかなりの粒子荒れを起こしていた。増感するには1本丸ごと現像するしかなく、このカットだけ増感といった事は出来なかった。
そのため感度自体は固定されているというのが銀塩時代の常識であった。
しかし現代のデジカメではこの感度の変更は簡単に。更にISO50-6400(自分でα7RⅢで使えると思っている感度範囲。)という大きな守備範囲となっている。
このカメラ自体も、ISOをオートに設定した時シャッタースピードの下限を設定するとそれに合わせて感度を変えていく仕様になっている。
自分は普段はこのISOも自動、AEもプログラムで使用する事がほとんど。気軽スナップ等はほとんどこれで用が足りている。気合を入れて絵作りをしたい時だけ自分で調整に入るが基本はプログラムオートからの修正でこれもほとんど足りてしまう。
この時頻繁に使うのが後ダイアルで行えるプログラムシフト操作だ。
今回問題にするのがこのプログラムシフト。
αの取説にはこの様に書かれている。
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フラッシュを使用していないときに、カメラが設定した適正露出のままシャッタースピードと絞り(F値)の組み合わせを変更できます。
前/後ダイヤルを回し、絞り値とシャッタースピードの組合せを選んでください。
・前/後ダイヤルを回すと、モニターの表示が「P」から「P*」に変わります。
・解除するには、撮影モードを[プログラムオート]以外にするか、本機の電源を切ってください。
ご注意
・撮影する環境の明るさによって、 プログラムシフトができない場合があります。
・撮影モードを「P」以外にするか、電源を切ると設定は解除されます。
・明るさが変わるとシャッタースピードと絞り(F値)はプログラムシフトの組み合わせを保持したまま変化します。
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取説に有る通り、絞りとシャッタースピードは変化するが、その対象にISOは一切入っていないのである。
これは銀塩時代の仕様そのまま。
ISOオートが有るにも関わらずこれは全く変化の対象から外されている。
銀塩時代のレガシーな作りのままなのだ。
実際絵を撮る時の動きとしては。
大抵の場合プログラムで選択された絞りとシャッタースピードでは思った絵にならないと感じた時。
自動で絞りF8シャッタースピードが1/250になった時、この後ろダイアルを回す事で絞りがF5.6になるとシャッタースピードは1/200に変化。
といった具合に適正露出に自動で変化してくれるとても便利な機能。
この機能、自分の場合一番多い使い方は距離の違う2つの対象の両方を納めたいと思った時に絞り込んだり、対象以外をぼかして対象を強調したい時に開くといった操作で使う事が。
絞り込んだ時はレンズ側で暗くなるので当然シャッタースピードは遅くなる。しかし問題なのはここから。絞り込んでシャッタースピードが遅くなって来た時、このプログラムシフトはISOオートで設定した下限速度を下回っても、無視してスローシャッターへと更に踏み込んでいく。この時シャッタースピード表示に警告も出ない。
これも同じだがこのカメラ、色々な所で「○○の設定だとこれ出来ません!」とかの警告うるさい位に出て来るのに、こういった場面では全く何も言ってくれないのだ。動体ブレ?そんなのプログラムシフトする奴が気を付けて当然、おりゃしらねー!って感じか?
それでは、先に書いたISOオートの下限シャッタースピードは何なのか?
ここまで出来る様になっていて、なんで下限を無視してもISOを変えようとしないのか?
悪い言い方をすればプログラムAEっていわゆる一般向け「バカチョン」と呼ばれるモード。
スローシャッターが嫌だったらISO調整してね!といった事すら書いていない。
知らない人がこの機能を使う時、全体にピントを合わせようとしたらスローシャッターになりすぎて動態ブレで被写体まで写っていない。
知らないでシャッターを切って普通の速度で切れていると思っていても実はシャッターが開きっぱなし。
撮り終わったつもりがまだ終わっていない状態で、カメラの構えをやめてしまえば如何に優秀な手振れ補正機能でも、撮り手が構えるのをやめても絵を追い続ける事は出来ないだろう。
実は、この事ソニーに限った事では無く今まで使っていたキャノンについても実は全く同じ仕様であった。
キャノンで使っていた場合はこの部分、撮る前に気づいて手動でISOを上げたり、撮影後プレビューで動体ブレに気づき取り直すといった事が当たり前になっていてこの様な考えに至る事は無かった。
AF-ONの否定論での言ったが、この部分は既存の状況に慣れていて気にならない位に自分が鍛錬されていたのだと。
しかし、このαになって操作性の悪さからこの当たり前の操作がとてもやりにくい物に。操作出来づらくなると何とかならないのかなこれ?と思うようになる。
ISOを変えようとしても簡単に行けないのである。
動体ブレの確認もいちいち再生ボタンを押さないと見れないとしなくなってしまう。(自動プレビューが使い物にならない件)
コンデジの世界ではどうなんだろう。ボケコントロールなんて機能をテレビでしきりに宣伝していた時期が有ったが、これも同じだったのか?
こうすればいいのに
やり方1(当たり前にやって欲しい事)
単純にシャッタースピード下限厳守、下限に行ったらそれ以上にスローシャッターにしないでISOを上げていく。
ISOの上限に達したらスローシャッターにはじめて踏み込む。
その時はシャッタースピードが設定を超えるスローシャッターに入っているので、表示を赤に変え点滅させる。
やり方2(これ出来たら最高!)
前・後ダイアルとコントロールホイールにそれぞれ違う機能をカスタマイズで設定可能に。
既存ではユーザーカスタマイズ出来ない仕様で、プログラムシフトも後ろダイアルに固定。これをせっかくダイアルが3つも付いているのだからユーザーの自由に選べるようにする。
そして当然、やり方1に書いた方法をまずはノーマルとする。
次に違う動きをするプログラムシフト。
ISOを固定しないでこちらを優先的に動かして行くやり方。残った2つのダイアルにそれぞれ、絞りとISOのシフト。シャッタースピードとISOのシフトといった3つの露出要素の内2つを優先的に行う。この時もやり方1と同じく設定限界を超えた時は警告を出しつつ残りの項目をコントロールする。
被写界深度を深く取りたいけど、動体ブレもさせたくない。ISOが上がって若干画像が荒れてもそっちの方が優先。
暗い所でもスローシャッターは使いたくない、だけど絞り開いて被写界深度も落としたくない。
といった要望にも対応できる様に。
やり方3(究極)
そもそもだが、プログラムシフトかける前のプログラムオートである程度できてはいるが、3つの要素を相対的に変える方向。
操作者の意思をカメラがある程度判断しなければならなくなるので最新のAI技術を織り交ぜた方法になるのかも知れないが。
プログラムオートのISOって上限下限の設定に対して、昔のEOSは結構ぎりぎりまで粘ってやっとISOを変える傾向が強かったが、このαに関しては結構カメラ側で320とか160とかの中間のISOも選んで使ってくれている。この部分はいい線行ってる気がする。ユーザーが何かを加えたいと操作したいと思わない限り。
上記、提案したやり方だが、それならAやSモードが有るのでは?と思うかもしれないがこのモードでもISOを自動で動かす作りにはなっていないのだ。
そしてこのAとSモードに関してはこのままでいいのではとも思っている。
じぶんも決してマニュアル操作を否定している訳ではない。
半自動的なこの操作も有ってもいいし、これはこれで実際結構使っている事も有るのだ。