タイムリミットは、あと25分。

あと25分後には、関西国際空港ゆきのリムジンバスが、出発する。


それまでに、スーツケースを乗せたタクシーが戻ってきてくれるのか?それが全てになってきた。タクシー会社の人は、電話で15分と言った。

道路の真ん中まで出て、タクシーの影が見えないか?目をこらす。


まだか? まだなのか?


5分が過ぎ、10分が過ぎ、15分も過ぎた。まだ来ない。どうしたんだ。タクシー会社に電話してみるか?どうする?


まさに、携帯に手をかけた時、黒い車の影が見えた。あれか? 目をこらす。タクシーだ。しかし、あのタクシーか?


こちらに近づいてくる、停まりそうだ。


運転席が見えた。あ!あの運転手だ! やった。 間に合った。


バス停留所のロータリに入ってきたタクシー、停車してあの運転手が降りてきた。おそらく、会社からかなり、怒られているんだろう。元気なく、「申し訳ない」と小声で言いながら、それでも「お客さんも声をかけてくれたらよかったのに。」ということをつぶやいた。


僕は、「小銭を落としたんで、しゃがんでたら、そのまま発進しちゃったんですよ!」と言いつつ、おそらく、この運転手がタクシー会社から受けるペナルティー?を考えると、キツく言葉を続けることはできなかった。


「スーツケースが戻ってきただけで十分ですよ。ありがとう。戻ってきてくれて。」 そう、声をかけると、老運転手は、そのまま、車に戻って去っていった。


タクシー会社に電話して、無事スーツケースを受け取れたことを報告し、お礼を述べた。それから5分後、リムジンバスが到着した。


ここからは、スムーズに関西国際空港まで到着でき、そのまま無事台湾へ到着することができた。


長いお話になってしまったが、以上が「消えたスーツケース事件」の全貌である。

教訓としては


・国内でも油断するな!

・タクシーでトランクに荷物を預けた時は、降りるときに必ず運転手に「トランク開けて!」と伝えること。

・トラブルにあっても慌てるな!うてる手は全てうて!


ということです。

それだけのことを、言うのに、こんなに引き延ばしたのかって?

すいません。まぁ、そんなところです。mOm