救急車が暴飲へ到着した後、「T君」のズボンやシャツはハサミで切り刻まれ、
CTスキャンのある部屋へ連れて行かれた。
僕は忙しかった。
まずは、会社に連絡して、「T君」の上司に事態を伝えた。
すでに総務担当者は帰宅しており、連絡がつかない。
今夜、急遽僕がつきそいとなり、彼の実家への連絡役まで、押しつけられてしまった。
「T君」の実家の住所と電話番号を聞き出すと、瀬戸内の小さな島だと判った。
その時、看護婦さんから説明をするので、診察室に入ってくれと声をかけられた。
まるでテレビドラマのように、CTスキャンのレントゲン写真が、投光器に映し出された。先生の説明が始まる。代理で聞くのだから聞き漏らすまいと緊張した。
結論的には、「T君」は、やはり脳内出血をおこしていた。元々高血圧症で薬を飲んでいたらしいが、酎ハイを飲んだので、血圧が上がり、脳内の血管が破れ、出血してしまったとのこと。
ただし、今の出血量なら命に別状はない。このまま出血が治まっていけば問題ない。との説明だった。