國民は~戰の名で僞瞞した侵略戰爭の狗となって驅使された。家は焼け財は失ひ骨肉四散し、國民は飢國と過勞に呻吟し敗戰は當然の命數であることが明かとなつても、血に猛る軍閥は更に二千萬の同胞の血によつて勝利を購ひ得ると頑張つた。~

即ちポツダム宣言履行を誓ふ終の御詔書を、新舊二地層の不整合面とするならば、舊地層はほう湃と寄せ來る民主々義の大海浸に抗し得ず、遂に海底の藻屑と潰え去つた舊支配階級に擬へらるべきものであり、それは僞瞞・陰謀搾取等舊日本に暴虐を恣にした古生物の永久の墓場である。これに對して不整合面の上に重なるべき新地層は、民主々義の波浪によつて營爲される平和なユートピア建設の温床にたとふべきものであり、其の温床を基盤として、平和日本創生の黎明が期待されるのである。~

                                                  <『鑛物と地質』創刊號、益富壽之助氏の創刊の辞>

地質学啓蒙の第一人者である益富氏らしい表現だと思いませんか。