罪の償い10

中西奈保(24)



ここで働いて3年になる



その間に彼女は世界旅行を経験している。船で世界を周るツアーに約１年間参加していたので、実質2年はたらいている事になる。


ここの中では、古株と言っていいだろう。同時期に入った森田幸治と加藤理名はそれぞれ就職が決まったので、辞めていった。




中西は当時は家庭教師を掛け持ちして
いたせいか午前中はここで働て、3時になるとせかせかと帰っていた。詳しい事はわからないが最近はそんな事はなくなり、その代わりに夜遅くまで残るようになった。
たぶんバイトを一本にしたと思われる

家庭教師をしていた事もあってか、以前ここで働いていた藤谷には「先生」
と呼ばれていた。
中西は、美人なだけにそう呼ばれても
おかしくなかった。本人はどう思っていたか知らないが、嫌な気分はしてなかっただろう。




中西は以前働いていた赤石と同い年だったそのためかお互いに気があってるかのようにも見えた。赤石本人も気にいっているようだったが、何も起きずに辞めていった。

つい先日の事だった。中西が彼氏を連れて遊びにきた。彼氏を見た私は、中西と赤石が何故くっつかなかったのか瞬時に理解した。中西の彼氏、加鳥は
赤石とは、真逆の人間に見えた。真面目で誠実そういう言葉しか当てはまらない印象だった。噂では、イケメンと言われていたが、そうでもなかった。
と言うのも、中西が美人なだけに、若手俳優のようなイケメンを想像していたからだ。正直、この青年ならいいという気持ちになった。何だか分からないが、身内的な気持ちになり、両親もいずれ結婚を許してくれるだろう！そんな気がした。