早く仕事が終わったから
土手に回って夕日でも拝んで帰ろっと♪


いくつかの理由で移動してきた
超高級老人ホーム赤字厨房。

そこでの俺はNO.2。
自分が動きたいように動けない。
そして上司は
部下の提案をすべて却下ようなタイプ。
「手伝いましょうか?」
「あ、大丈夫だよ。先にあがんな」
一人で全部背負うのが
善い上司だとでも思ってんのかな?
はぁ… (〃´o`)=3
だから部下のレベルが低いのか…。

部下に少しずつルベルの高い仕事を
覚えさせて
任せて
そして自分の仕事の水準を上げるから
職場全体が力をつけていく訳だよね。

赤字の店舗なのに
なぜか「先物」食材を使おうとするんだよ。
先物なんて高価だし大して旨くもないぜ?!
食べ物はさ、
大量に出回って「安い」時が「旬」なのに。
俺は先物って「もう食べたよ」って
カッコつけたい人が食べるぐらいで、
他に なんのメリットもないと思ってる。
違うかなぁ?
あの上司に
いくら説明しても止めないんだよ。
赤字なんだよ!?
普通の食材よりも高いんだよ?!
馬鹿なのかな…?



ま、それだけじゃないけど
仕事に情熱を失いかけていた俺は、
その熱意をロードバイクに
移そうとしてたのかもね。

あの日は
仕事にケリをつけて 残りは後輩に任せて、
いつもの帰り道は土手に通らないんだけど、
早く終わって時間もあったから
「土手で初夏の夕日を眺めながら帰ろう」
そう思ったんだ。




その日に通った土手の道は
雑草が生えまくった古いアスファルト。

途中でコケた。

右膝がかすれて少し出血。
まだ人がいる時間で気恥ずかしくて
さっさと走ってその場を離れたんだけど、
その数分後…

あれ?
ヤバイ、サングラスが無い!
さっきんところだ!

でもそこは土手。
どこも似たような景気なんだよね。

結局 見つからなかったんだ。
かぁちゃんに怒られるなぁ…って(笑)




翌日は朝番。
5時には仕事が始まる。
早すぎだよね~、もうヤダよ。

まだ外は真っ暗で、やけに風が強い。
サングラスがあればなぁ…。
あのサングラス、
レンズが変えられるんだよ。
スポーツタイプだから
ホコリも入ってこないのに。

あきらめて出発。

片道20㎞の通勤ロードでさ、
いつも1時間ぐらいで着いちゃうんだ。

2/3ほど走ったあたりで
空が少し明るくなってきた。
そこは長~い長~い下り道。

こんなに明るくはなかったね。
もっと真っ暗だったよ、あの時は。

ここで
うわっ、強い向かい風!
ほとんど目があけられないよ~。

で、この下りに入って
スピードが出たところでさらに物凄い風!
ヘルメットが顔の方に下がってきた!

目もあけずらいから
すぐそこのバス停で直そう…
こんな早朝なら大丈夫だろうし。

と思って 左のバス停に…!!!!!





ロードバイクは
頭が下がってお尻が上がってるイメージ。


そのお尻がグイッと上に回って物凄い衝撃。

「グハッ!」

そう声を出したのを覚えてる。
呼吸ができない。
横のバス停は何も停まっていないはずなのに
なぜか巨大なダンプがいた。


見えなかった…。






救急車が来る前に
ゴロンと寝転がった状態から
体をおこしたいけど
なぜか力が入らない。


怪我をしてるのは…
手にちょっとすり傷があるのと
昨日チャリンコでコケた傷ぐらい。
大したことないけど…
チャリンコ、ダメにしちゃったな。
起こられちゃうけど
また買ってもらえばいいか…。

などと考えてるうちに救急車が到着。















救急室に担ぎ込まれ、
服をハサミでチョキチョキ切られて
すっぽんぽんで診察開始。


数時間後に
子供を親に預けて
妻が駆けつけて来てくれたよ。



そして二人で聞いた医師の言葉。

「脊髄損傷です。ま、重症ですね」




動揺を隠せないであろう妻の顔を、
ボヤけて見ることが難しい。


「やっちゃったね。しょうがないよ」

笑顔で「ガンバろう」と言う妻に、
「ごめん」と繰返すしかできなかった。






二人で泣いた。











いま、あの日のことをもう一度考えた。

あの悔しさを忘れないためにも。

救急室で動けずに、
たまに じわっ…とボヤけて見えなくなる
あの天井を見ながら、
ずっとスマホで調べまくった。

この身体のこと、
家族を養うことができるのか?
ず~っと調べてた。





俺は今さ、

どこに向かって

何をしてるんだろう…?

正しいのかな?




そして…

家族の頑張り、

家族の支え、

家族の辛さ。


これは
“ 俺の影に隠れてなかなか見えづらい ”


そんなこと、あるんです。




だけどやっぱり、

そんな家族とだから 

なんとかここまで来れたんだよ。




そして、どうしても負担をかけてしまう。

その負担を少しでも減らせるように。

それがなかなか上手く

いかないんだよ。。






今日で足が動かなくなって467日。



明日も息子と一緒に小学校へ行きます。

挨拶おじさんですからね(*^^*)