「王冠を被る者はその重さに耐えなければならない」と答え、だんだんと道を切り開いていき、初めて主演俳優というタイトルまでやって歩いて来た。役柄の比重を選ばずに作品を続けてきたおかげだ。しかし、主演俳優というタイトルの中でカリスマよりも重い責任感を感じて頭が上がらない。
MBCドラマ「トライアングル」が全26話で終了し、約3ヶ月に渡る長丁場の撮影も幕を閉じた。作品に対する結末とその評価は賛否両論だ。それでも、俳優の名演技には異論がなかったドラマだった。
(写真提供:C-JeSエンターテインメント)
その中でも初めての主演俳優としてドラマを引っ張ってきたキム・ジェジュンの成長は注目すべき点だ。ドラマ前半では、むなしさや切なさを持ったホ・ヨンダルから、自分が目指すものをやり遂げようとするチャン・ドンチョルに変身するまで、キャラクターと一心同体になったキム・ジェジュンの熱演は再発見という表現でさえ、十分ではないほど圧倒的だった。
それだからなのだろうか。彼の瞳には未だにホ・ヨンダルとチャン・ドンチョルの妙な余韻が残っているようだ。30日午後、江南区新沙洞のあるカフェで俳優キム・ジェジュンとのインタビューを行った。
▶ キム・ジェジュン、「主演俳優」という王冠の重さに耐える方法
- ドラマが終了して、今の気分はどうか。
「今になってやっとすべてのことが終わったという気分だ。実はまだ打ち上げも終わっていないのに(笑)。5ヶ月間、すべての五感を集中させた作品だ。まだ、実感がない」
- 最終回を見たか。
「携帯で1日遅れで見た。何かもっと見せなければならないと思いながらも、(撮影が終わって)気分はすっきりしているが名残惜しい感じもする」
- 今回の作品を撮影しながら大変だったことがあるとしたら?
「ドラマで初めての主演だった。主演俳優としての心がけや責任感をとても感じて、たくさんのことを学んだ。今までは『一生懸命やって視聴者たちに恩返しをしなければ』という気持ちでやってきたが、今回の作品を起点に視野がさらに広がった。『主演俳優が失敗すると周りにも大きな影響を与える』ということを体感する機会になった。主演俳優というタイトルだけでも演技以上に気を使わなければならないことが多い」
- 具体的にどんな部分が大変だったのか 。
「韓国でのドラマの撮影環境は全般的に時間に追われることが多く、劣悪だ。そのような状況の中で主演俳優がどう動くかによって雰囲気が大きく変わる。結局、それは責任感の問題だと思う」
▶ 「トライアングル」がキム・ジェジュンに残したもの
- 撮影現場でムードーメーカーとしての役割も十分に行ったと聞いているが 。
「その部分に関しては努力した。睡眠不足でとても疲れていたが、自分が失敗すればチームに迷惑がかかると思っていた。悟りを開くような気分(笑)で集中して演技しようと体力の按配にも気を使った」
- 先輩、後輩、同僚とはどうだったか。
「大変そうだね」と一言、声をかけると「お前ほどではない」と返事が返って来た。『努力しているのを分わかてくている』と思うと、さらに頑張れた。そのような仲間がいて楽しかった」
- 「Dr.仁」ではベイビーという愛称だったと聞いたが、今回は特別な愛称があったのか。
「おもしろいエピソードがたくさんある。ドラマの中では、ヨンダル、ドンチョル、本名はジェジュン。東方神起時代(ヨンウンジェジュン)と錯覚してヨンウン(ヒーロー)だと思っている方もいて、どうやって呼んでいいのか戸惑っていた。監督をはじめ、撮影現場では「ヨンチョル」、「ビョンダル」と呼ばれることもあった(笑)。呼び名は本当に多かった。それでも、「ヨンダル」と呼ぶ方が一番多かった」
- ホ・ヨンダルは難しいキャラクターではなかったか。どんな魅力を感じて役を引き受けたのか。
「とても自由奔放なキャラクターだと思った。閉じ込められていないという感じが良かった。今まで自分が演じた本部長や室長のような役ではなく、自由なキャラクターだと思った。もちろん、代表理事のタイトルを最後にはもらったが(笑)」
- ホ・ヨンダルというキャラクターを完成させるためにどどんな努力をしたか。
「(チェ・ミンシク先輩からアドバイスをもらったりしたが)最初のチンピラのキャラクターを自分なりに設定するのがとても難しかった。チンピラ役をどうやって演技したらいいのか考えた時にある映画を見た。台詞の70%が悪口だった(笑)。僕自身もキャラクターを作り上げるために、リハーサルの時に台詞に悪口を入れてみたり、逆に実際に演技をしながら悪口をまったく入れずに演技をしたりもした。放送時には、(余りにも悪い言葉だったので)口パクで放送されたこともあった」
- 言葉で表現できないとしたらかなり制約を受けるのではないか。
「映画だったら可能な部分も多かっただろうが、制約がかなり多かった。だからファッションやその他の部分で自分なりにキャラクターを完成させるための努力をした」
- 今回の作品に対する満足度はどうか。
「満足度というほどのことはまだわからないが、記憶に残る作品であると思う。歌手として考えるのであれば、本当に良い曲なのに自分のパートでうまく歌えなかったとしたらその部分だけ聞きたくないと思う。その反面、自分がうまくできたと思ったらその部分だけリピートして聴くだろう。作品のことに戻って話すと、やりがいを感じた過程があったので記憶にも残ると思う。何よりも先輩、後輩、同僚、スタッフのことを考えると忘れることはできないだろう」
- 作品に対しては残念な部分があるという意見も多かった。しかし、それでもキム・ジェジュン本人に対する演技力は好評だった。負担に感じる部分もあったはずだが。
「すべての俳優がそう思うはずだ。自信をもって演技をすることもあれば、慣れ親しまないキャラクターを演じることで萎縮してしまうこともある。今回は良い環境を作ってもらえたことで得たものが多かった」
- ドラマに出演すると、周りから称賛がやまないようだ。一番心に残っている言葉は何か。
「キム・ジヨンさんが最後の撮影場所だった龍仁セット場で撮影した時に、『一所懸命やった』という言葉でも気分は良かっただろうけど『よくやった』とおっしゃってくれてとても嬉しかった。先輩が認めてくれたというのがとても気分が良かった」
▶ JYJ、そして俳優キム・ジェジュン
- 今後、俳優として聞きたい褒め言葉があるとすれば何か。
今後も俳優として演技をするとすれば、死ぬまで俳優をとして演技をするとすれば、まだまだよちよち歩きの状態だ。経験豊富になるれるようどんなことでもやってみたいという気持ちが大きい。今の段階としては、経験を積んでいくということが重要だと思っている。演技者キム・ジェジュンとしてだけではなく、一人の人間として様々な経験をして、たくさんの人たちに会ってみないといけないと思っている」
- 非難の言葉も受け取る準備ができているか。
「もちろんだ。ただ、非難されないように努力する」
- 演技が上手くないと非難される時期は過ぎたようだが。
「それはまだわからないことだ。チェ・ミンシク先輩も今回の『鳴梁』で李舜臣将軍役として演技してジレンマに陥ったと聞いた。実在した歴史的な人物を演じることがどんなに難しいことなのか、先輩の苦悩を僕も感じた。僕もそのような状況になることがあるだろう。俳優として一生、研究していかなけければならない宿題だ」
- しかしながら、なぜ俳優の道を進もうとするのか。演技することにどんな魅力を感じるのか。
新しいものに出会う度にドキドキしたり、様々な気持ちになるが、俳優という職自体が毎回、新しい環境の中でそのよな気分を味わえることができる。だから、中毒性があるようだ。今後もそのような気分を味わいたい。うまくできること、好きなことだけやっていたら人生が不安になることもないが、幸せになることもないだろう」
- そのような面では今後も挑戦していくことは多そうだ。本業もあるが。
「それが僕の幸せだ。ひとつの人生を見た時に、歌手と俳優というタイトルで定義されるだろうが、自分なりにいろいろと挑戦することができて幸せだ。しかし、今回は休む暇もなく忙しかった(笑)」
- チンピラ役まで演じたが、今後はどんなキャラクターに挑戦したいか。
「まだ役を選ぶ段階ではないと思っている。明るいキャラクターにも挑戦したいし、いろいろな衣装を着てみたい。やってみたい役はたくさんある」