久々に映画の話題を。


立て続けに何本か観た中の4本。


「別離」 2011年 イラン 

「灼熱の魂」 2010年 カナダ・フランス

「ウィンターズ・ボーン」 2010年 アメリカ

「レディー・ジョーカー」 2004年 日本


評判の良かった外国作品をチョイスしてみた。

上の4本、国が違う、言語が違う、けれど、根底の主題は『家族』だ。


イランの『別離』は、ある夫婦の離婚調停から話は始まるのだか、夫婦には離婚を望まない娘と介護が必要な親がいる。そこに、とりあえず雇った介護人とその夫が絡み、また宗教上の問題も提議され、ちょっとしたミステリー感覚な部分も持ち合わせた、非常に魅せてくれる作品に仕上がっている。登場人物は少なく、行動範囲もせまい映画だが、飽きさせない、時間があっという間に感じた。テンポ良いし、映像のキレも秀逸。戦争のイメージしかないイランという国に、こんな映画があるんだとびっくりしたが、考えて見れば、緊張を強いられる日常だからこそ、こういった才能もでてくるのだろう・・。


個人的な疑問、あのお金は誰が? 最後に彼女はどっちを?   これは観た人ならわかります。



カナダはケベック出身のドゥニ・ヴィルヌーブ監督の作品「灼熱の魂」の内容は強烈です。強烈すぎます。話の始まりは、双子の姉弟が母親の遺言を託されたことからはじまります。それは、二人にとっての父親と兄を尋ねろということ。二人は、今の今まで父はともかく、兄の存在すら知らなかったから驚き。それぞれに渡してほしいという手紙を託された二人は、遺言執行人でもある母の上司の助力もあり、知らなかった母の数奇な人生を知ることになる。しかも、運命はあまりに過酷だった・・・。


「ウィンターズ・ボーン」はミズーリの山奥で暮らす17歳の少女が主人公。保釈中の父親が失踪して、少女は病気の母と幼い弟、妹を抱え途方に暮れる。父親が保釈金の片に家土地を担保にしたので、父親が出て来ないと家を出ないとならない。しかも、少女の家族は今日食べる食料に困っている。買っていた馬は、ほし草が買えないから餌をやれないと隣家に飼ってほしいと頼み込む。少女は、とにかく父親を捜す。父親はその地域一帯の生業のような麻薬製造密売人だった。少女の伯父さんも仲間。少女は伯父さんに父を捜してと頼むが首を突っ込むなと追い返される。地域のボスのところに無謀にも出かけて半殺しにもあう。軍隊に入隊すればお金がもらえると知り行くが、17歳では親の同意が必要と言われる。(ここのシーンが良かった)

そうした孤軍奮闘の少女、でも、気持ちは折れない。悪の父のことは諦めても、家族の面倒を自分が見なければと、それには家を追い出されてはできないからと頑張る・・・。


淡々とした表情でがんばる少女役のジェニファー・ローレンスが素晴らしかった。



高村薫原作、平山秀幸監督の「レディー・ジョーカー」 渡哲也主演。上記の3作品があまりに見事だったから思うのかもしれないが、非常に物足りない作品だった。話がおもしろい、映画として期待できるストーリーだと思うからこそかもしれないが、期待はずれ。そもそも2時間では無理なのか? いや違うと思う。この映画の2時間に退屈な時間がいっぱいあったし。第一は脚本が練れてない。特に人物像が。第二に演出もあっさりしすぎ。もっともっとどうにかできたはず。なんでこの程度なの? お金が足りないからなのかな? いや、それだけではないと思う。平山監督はいつも‘突っ込み’が足りない気がする。あと、編集もちょっと、ブチっとやっちゃってる。最初の古い農家の雰囲気、美術さんは頑張ったと思うけど。いかんせん、話がおもしろいから期待したけど、こんなんで高村さん、良かったんですかね? 


来月、wowowでドラマ化ってことなので、期待しましょう。


最初に書いたように、家族の問題が根底にある作品ばかりだが、残念ながら、日本の家族はこれでは意味不明だわ(笑)