イスラエルの若い映画監督が撮った作品です。


2004年の作品。


シリアとイスラエルの間にあるゴラン高原は、もともとシリアだったのですが、イスラエルに占領されてから無国籍地帯になる。


そこに住む家族の、次女の結婚を通して、物語は進みます。

次女モナは、写真見合いで、親戚だというシリアのテレビタレントとの結婚を決める。


モナがこの地域から出てシリアに行くということは、二度とこの地に帰ってくることが出来なくなる。

この地域から、世界中どこへでも往来は可能なのだが、ただ、シリアだけはダメ。

結婚は、許可証をとって、やっと認められるという感じ。


モナは不安だ。

ほとんど知らない相手との結婚に対する不安と、もし、ダメだとなっても二度とここに戻って来れないという不安と。


家族も久々に集まって来るが・・・ここにも、たくさんのドラマがありました。


モナの長兄は、8年ぶりにロシアから帰国。この地を離れ、宗教を捨て、ロシア人と結婚した長男は、父親とは絶縁状態だった。わだかまりは、簡単に溶けない。


次兄はイタリアで何やら調子よくビジネスと張り込んでる感じだが、何か怪しげ。


弟はシリアに行ってる。だから、この映画で彼はずっとシリア側の国境にいて、メガホンで兄や姉たちに声をかけている。「姉さん、コーヒーも一緒に持ってきてよ」ってな具合に。


そして、この映画のもう一人の主人公、モナの姉アマル。

彼女は、自分が住んでるこの地域と同じように、自分自身も縛られてるこの状態にうんざりして、これからのことを考えている。


そんな、家族のそれぞれの思いとともに、映画は進む。


そして、いよいよ、国境へ。

花嫁が着く。

シリアの花婿も、一族とバスで到着。


それぞれの間に国交はないので、その間をとりもつのは、赤十字の女性職員。


モナのパスポートを持って双方の国境を行き来するが・・・・。


イスラエルからの出国とみなす側と、シリア内を移動とみなす側の、双方の意地の張り合いみたいなことになる。

どちらも譲らない。

女性職員は何度も何度も双方に掛け合うが・・・。


そんな、待たされてる時に、花婿が花嫁に声をかける。

「いつまでも待ってるよ」

モナはその時はじめて嬉しそうな顔に・・・。


どうにも、らちがあかないとなったとき・・・・その時、モナがとった行動とは・・・・。



この映画に感動しました。


映画って、こういう作品を作ってこそ、意味があるのではないかと、そんな気にさせてくれました。

素晴らしい作品です。


上手いとか下手とか、そういうことじゃなく。

暗い映画でも、悲しい映画でもなく。

でも、途中に何どかホロリと涙があふれる。


映画の終わりは、意味深です。


観てる側は、彼女たちに幸せが訪れるよう、ただ祈るばかりです。



良かったら、ぜひ観て下さい!!