ここ1か月の読書覚え書き。

●ペク・セヒ『死にたいけどトッポッキは食べたい』

気分障害と不安障害を抱えた若い女性(著者)が精神科医との12週間のカウンセリングを通して、自分を見つめ直した体験エッセイ。


BTSのRMや韓国著名人の愛読書として、韓国でベストセラーになった本だそうです。


割と身近にうつ病に悩む人がいるので、読んでみようと手に取った次第です。


カウンセリング時の内容をテープにとり文字に起こしたパートと、各カウンセリング後の感想や変化を綴ったパートで構成されています。

医師やカウンセラーの側から書いた本は多いかと思いますが、患者側からの本は少ないのでは?


相反する気持ちを率直に吐露していて、恐る恐るながらもまっすぐに自分自身と向き合う姿にとても好感がもてました。

不安定な気持ちに揺れ動く時には寄り添ってくれる本かと思います。




●有吉佐和子『青い壺』

最近、書店の平積みの台に新刊書の横に有吉佐和子の本を見かける事が多いです。

没後40年になる作家で珍しいなぁ〜と思いつつ購入。

若い頃に作品は割と読んでますが、今作は初めてです。

青い壺の誕生から、次々と変わる所有者達の心情をそれぞれ見事に描いており、すごく面白かったです。


もちろん時代背景は昭和20〜30年代?でかなり古いのですが、変わらない人間心理の描写が巧みで全く色褪せてないのにびっくりでした🫢




●国立国語研究所編『日本語の大疑問』

日本語研究のスペシャリスト集団・国立国語研究所が国民からの素朴な、でも奥深い疑問に全力回答した名回答を集めた本です。


⭐️漢字のない国にキラキラネームは存在するか?

⭐️江戸時代の「おじいちゃんらしい話し方」は関西弁

⭐️過剰か無礼か? 敬語と接客ことばの謎

 などなど…

名回答にほぉ〜と感心したり、質問に共感したり、かなり楽しめる本でした!

他言語との比較もあり、母国語というのはその民族の精神性とか文化の根幹を為すものであるなぁ〜と感じました。


この本で書かれていたのではないけれど、シワシワネームってのもあるんですってねびっくり

若い子に祖父母世代の名前がつけられているのをいうらしいんですが…シワシワってどうよ爆笑



●アゴタ・クリストフ

 『ふたりの証拠』『第三の嘘』

『悪童日記』の続編&続々編。


衝撃の『悪童日記』とは全く違う文体と構成です。

えっ!えっ!とパラレルワールドみたいな展開に引き込まれて、最後まで一気に読み終えました…


かなり複雑な世界観ですが、全編を通してやりきれない喪失感が濃い作品でした。