「…雨か……」

僕は梅雨が嫌いだ
いや正確に言えば雨が嫌いである。

何故なら僕は天然パーマだから湿度が高いと前髪だけうねりだすのだ。
外ハネだったらまだしも、内ハネなものだから質が悪い…オカマみたいなそのパーマ具合は総じて気持ち悪い。


だが、今ではそれも杞憂に終わる。
高校生になった僕は野球部に入部し、坊主になったからである。
グッバイカマヘアー!
ハロー眉毛も坊主な僕……


さて、どうでもいい悲しい前置きが長くなってしまったわけだがそろそろ本題を語ろう。



6月23日(土)、天候は雨だ。
本来なら今日は練習試合があったのだが、学校に来る途中で豪雨に見舞われて中止になってしまったのだ。なので午前中はストレッチ、午後は休養も兼ねて休みとなった。

けれどこんな雨の中、帰るのも中々辛労だ。
であるならば部室で暇潰しをするかっと言う結論に至る。

そんなこんなで時間も経ち帰ろうとするが豪雨が止む気配がない。
するとなぜだか「先生達も全員帰ったことだから部室で夜まで怖い話をするか!」ってことになってしまった。
……いや、僕は決して怖い話が苦手ではない。
むしろ好きな方だ。

もう一度言おう。
僕は決して怖い話が苦手ではない。
むしろ好きな方だ。
決して怖くなんてない!…はずだ



今は一体何時なのだろうか?
と言うのも部室には時計がない。

そして雰囲気を出すために「電源が落としてあるのに着信したりしたら怖いだろ!」
って実に高校生らしい理由により携帯は電源を落としてある。
ちなみに部屋の電気も落としている。


そのため今は時間がイマイチ分からないのである。

時間が分からないと言うのは意外にも精神的にダメージを与えるものだ。

そんな時刻も分からない部室の中は湿気による気持ち悪さと部屋の中が異常に暗かった。
部室の中を照らすのは窓越しに入ってくる、外灯だけであるが、それにしても暗い。
豪雨のせいだろうか?

そんな何か起こりそうな雰囲気を漂わせつつも話は盛り上がった。



「家から出た時たまに鍵閉めたっけ?ってなる時あるだろ?それに似た理由が2回以上あり気になって家に帰る場合、この先出掛けると何かしら危険が迫っているって守護霊の警告らしいぞ」
…ん?待て…僕はたまにそれあるけど、その場で「まぁいいか」ってなるぞ?
ってことは、アレか?僕は守護霊に見放されてる!?
お願い!help me !守護霊様!

っと守護霊様に懇願してる最中、
「カン…カン…カン…カン…」
っと部室棟の階段を誰かが上がってくる音が聞こえてきた。
今は何時だか分からないが体感的に21時~23時くらいじゃないだろうか?とうに下校時刻は過ぎてる。
しかも今日学校に来てるのは野球部だけのはずである。
こんな豪雨の中わざわざ学校に、しかも部室棟に来る物好きはいないだろう。


「……………」
誰も喋ることが出来ない。
そして一人が、ヒソヒソ声でこう言った
「なぁマズくないか?夜遅くまで部室で遊んでたなんてバレたら部室使用禁止になんるんじゃないか?」

その通りである。
これはマズイと思い僕は取り敢えず部室の鍵を内側から閉めた。
偶然ではあるが部室の電気は落としてあったため喋らなければバレることはないだろう。

「カン…カン…カン…コツ…コツ……ガチャガチャガチャ…」
どおやら部室の戸締まりの確認をしてるらしい

そして僕らの部室前にたどり着き、
「ガチャガチャガチャ……コツ…コツ………」
……?
なんだ?
足音が止まった?
ふとドアの方を見ると窓の前で"何か"がこちらを覗いてるようだ。

ようだっとあやふやな言い方になるのは理由がある。部室の窓は中が見れないようになっている
モザイクがかかったような窓ガラスと言えば分かるだろうか?
なので外からも内からもハッキリは見えない。
加えて電気を落としてる部室の中側は、外から見ればただの暗闇だ。
逆に中から見た外は外灯のおかげで誰かがいるぐらいは分かるのである。

「……………………」
いるのがバレたか?
すると、
「……コツ…コツ…コツ…コツ…カン…カン…」

音が完全に聞えなくなった。どうやら難を逃れたらしい
やたら高い湿度のせいなのか異様に気持ち悪い汗をかいてる。
もはや帰りたい。
すると、
「ハァ…マジビビった…用務員か?なんでアイツこっち見てたんだよ…なんなんだよ…ビビらせんなよ、俺はてっきり"でた"かと……まぁなんにせよ、もぉ帰るか」
よし!彼の意見に賛成だ


家に着いたのは23時50分。9時間くらい怪談話をしてたのか?
っとそんなこと思っていると携帯が鳴った。
どうやら、さっきまで一緒にいたヤツから電話だ。


「もしもし?お疲れ、どうした?」
僕が訊くと、
彼は「うん…お疲れ、……あのさ………」

なんだか怯えてるような声だった
彼からの電話の内容はこうだ

・なぜ"アレ"は暗闇の部室の中を覗いていたのか?
・あの豪雨の中、階段の音なんて普通聴こえなくないか?
・普段戸締まりの確認をしてる人なんていたか?

なんてことを彼は言っていた
その時は彼に適当なことを述べ納得させたが、確かに考えてみればおかしなことばかりである。

僕は怖くなり深いこと考えずに彼に納得させたように適当に納得して寝ることにした。

その翌日、
練習が終わり昨日のことで部室で盛り上がっていると、顧問の先生が部室にやってきた

「明日は私がいないから自主トレだ。それと駄弁ってないで早く帰れ」
っと言われ僕達は帰る用意をしようとした時、昨日の電話の彼が、

「先生、この学校って用務員とかいるんですか?」
すると先生はこう答えた
「用務員?いないぞ、まぁ昔はいたらしいけどな。」

昨日の夜の"アレ"は一体誰なんだろうか?
そもそも誰と言っていいのだろうか?

数日後、あの電話彼は"何か"が迫ってくるとノイローゼになり…………

今度は僕の番だろうか………