「KENちゃんがおとーさんになるのがそんなに嬉しいの?うれし泣き?」
TAKAが受話器の向こうで真帆を馬鹿にしたように言った。
「仏の顔も3度だよ。」
TAKAがボソッと言った。
何回も離婚を口にするくせに離婚の話はTAKAから全然進まなかった。
お母さんを通して絵理奈に会えていれば満足なようで
世間はおかしな夫婦だと思っていた。
奥さんが覚せい剤で捕まっても
自分のプロデューサー業の事を気にするでもなく
ただ放置していた。
TAKAが何を考えているのかはよくわからなかった。
世間は真帆の自伝漫画のTAKAキャラを笑いながら読んでいた。
あんなに死ぬほど愛した綺麗なバンドのお兄さんが
今の真帆の漫画では葉っぱの香りのするいい加減キャラで
何も考えていない人で笑いをとっていた。