碧いラフレシアの花 その757 KENちゃん33歳の秋 | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

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好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代



KENちゃんのボロイアパートの窓からコオロギの声が聞こえてきた。


ギタリストの中村さんと缶ビールを開けながらKENちゃんはくつろいでいた。


「俺、このアパートで独りぼっちで死ぬのかな・・・。」

KENちゃんがぼそっと言った。

「同じことを俺も考える時があるよ。」中村さんが言った。

「今更カタギにはなれない・・・。」KENちゃんが嘆くように言った。

「青木君には子供がいるだろう?俺は何もない。」

中村さんが泥酔状態で言った。




中村さんがTVをつけた。

「わはは。沢田隆章の奥さんの少女漫画家早坂まりあ先生の減量番組だぁ~。」

中村さんが嬉しそうに言った。

KENちゃんが苦笑した。

「痩せたらもう一度抱きたいかぁ?青木~?」中村さんがろれつが回らない状態で言った。

「もうこの夫婦には関わりたくないです。」KENちゃんが馬鹿にしたように言った。

「でも早坂先生が生まれてから一番愛したのは青木君なんでしょ?不倫中にそう言ってたんでしょ?この奥さん。」

中村さんが茶化したように言った。



「真帆ももうおばさんだよ。」

KENちゃんが何となく悲しそうに言った。

「それで・・俺も・・もうおっさんだ・・。」

KENちゃんがため息をついたように言った。


コオロギの声がさらに大きくなって大合唱になった。



「俺・・こんな大人になりたくなかった。」



KENちゃんがそう言った後、トイレにかけこんで

飲んだビールを全部吐いた。