碧いラフレシアの花 その475 TAKAの帰還とその後の日常と橘君 | 連載性春小説  碧いラフレシアの花

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好きじゃない人と天国へ行くよりは


好きな人と地獄に行きたい


ある女の子の80年代

橘君が家に帰る時、橘君が自分の電話番号を書いた紙を真帆に渡した。


真帆がハイハイという感じで受け取った。


橘君は全く脈がないことを瞬間に悟った。




「自宅に僕からお電話したら駄目ですか?」

橘君がおそるおそる聞いた。

「同居人がいるんだけど。」

「同居人はいつツアーから帰ってくるんですか?」

「私、仕事で忙しいんだけど。」



橘君はもう真帆に会えないと悟った。


もうさせてくれる事は一生ないんだ・・・。



「婚約してるんだよ。」

真帆がうっとおしそうに言った。




電話が鳴って真帆が電話を取った。




真帆が嬉しそうに「ああ、TAKA!いいのよ。いいのよ。全然怒ってないから早くツアーから帰って来てね・・。」と電話の相手に言った。




同居人だ!

橘君にはすぐ分かった。




真帆がふかふかの白いカーペットの上にぺたんと座って、指で電話のコードをいじりながら嬉しそうに話していた。


赤いすけすけのネグリジェの上に白いもこもこのバスローブを着ていて、なんかまりあ先生は人形みたいに可愛いな・・・・と橘君は真帆を見て思った。


「怒ってないからね。怒ってないからね。そんなに謝らなくていいのよ・・・。」



怒っていたくせによ・・・・・と橘君はむっとした。



「お土産なんていいのよ。ただここに居てくれたらいいの。お誕生日もうすぐだね・・・。ポルシェ買ってあげるよ。」



げげえ・・と橘君は思った。


橘君は自転車以外は乗りこなせなかった。



「遠慮しないでよ。もう30でしょ。ポルシェくらい乗ったら?どうせ結婚するんだから・・・。いいのよ。私を乗せてよ~。」


同居人の楽しそうな声が電話の向こうから聞こえてきた。



橘君が急に悲しくなった。





真帆がにっこり笑って


受話器を握りながら


バイバイのアクションを


橘君のほうにした。



それから唇に指を一本立てて当てて


しっ~のアクションをした。






橘君が物音を立てないように真帆に気を遣いながら出て行った。











次に床屋さんに行った時


橘君は早坂まりあ先生に言われたように前髪をつけてみた。






それでもまりあ先生からは電話は全くなく




担当の高橋さんが職場復帰したので


橘君はまた倉庫番に格下げになった。






2人は一生会う事はなかった。





その後橘君は弱小の学習ドリルの出版社に転職した。



橘君は小説家にはなれなかった。


彼女も出来なかったので


30過ぎてから実家の田舎でお見合いして結婚した。








真帆が死んだとき


橘くんはワイドショーの報道を見ながらおいおい泣いた。





遠い昔化粧の厚いベース弾きからこっそり拝借した


可愛い早坂まりあ先生が


ずっとずっと好きだった。




こんなに涙が出るんだと思うくらいに

橘君の目から涙がこぼれた。